空襲は終わった。国連軍(LLN)の攻撃隊は旧式機が多かった上に、連携がとれていなかった。その為ほとんどの機体が艦隊にたどり着く前に日本側の迎撃機に撃墜された。しかし、全ての機体が叩き落とされた訳ではなかった。
攻撃隊の連携がとれていない以上必然的に発生せざるを得ないタイムラグにより、日本側の迎撃に僅かな穴が開いた。それは蝿一匹程度が通れるほどの大きさしかなかったが、その穴を突き破って一機のJu87が空母「蒼龍」に向かってえさを見つけたカツオドリのような見事な急降下を行い、爆弾を命中させていった。
空母は脆い軍艦だ。それは仕方ない事だと思う。空母の最大の目的は艦載機を胎児のように保管し、艦載機達が巣立ちを控えた雛鳥がおずおずと飛び立つように飛行甲板から離陸するのを全力で援護し、長い戦いで疲れ果てた艦載機を暖かく迎え入れる事にあるからだ。空母は母であり、巣であり、子宮でもある。だから空母が脆いのは仕方が無い。だがその空母に爆弾を落とされるような乗組員は――糞だ。