2017年12月28日木曜日

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (吹替版)』 2015、備忘録代わりの感想。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (吹替版)』(エピソード7)を観ました。
http://amzn.asia/5U2s7xY

結論:強固なスターウォーズオタクでなければ素晴らしい映画です。見て大丈夫です。
まあ強固なスターウォーズオタクは周囲の評判なんて聞くまでもなく見るだろうし、実際もう2年以上経ってて見てないわけないので、この記事を読んでる人はみんなスターウォーズへの態度は普通だと想定しておきます。

先に自分の態度を表明しておくと、私はレンタルDVDで4,5,6の旧三部作を普通に楽しみ、新三部作の1,2,3で微妙な気持ちになりつつ、7を飛ばして、『ローグワン』を劇場で観て大はしゃぎしたくらいの、普通のアメコミ系映画ファンです。

以下、ネタバレあり。

2017年12月24日日曜日

映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』感想など(準備稿)

 イタリア生まれのスーパーヒーロー映画、ガブリエーレ・マイネッティ監督の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot 皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」)。
 私が2017年に観た映画ベスト10を上げるなら、間違いなく入ってくる傑作です。というか誰も上げないだろうから、私は贔屓を込めて、これをベスト1だと言っていきます。
 ミニシアター系での上映だったので、周りで観た人はほとんどいなかったですが、唯一ロボガ界隈では話題になりました。鋼鉄ジーグですからね。
 今日はその感想とか、考察とか、気づきとか、まあその辺のことを気の向くままに書こうかと思います。 ネタバレありです。

 

2017年12月16日土曜日

トマト缶とオリーブオイルとアイカツ!149話(試作版)

 今日は、トマト缶を使ったトマトソースをベースに作れる、三つの料理のレシピの話をします。ついでに業務スーパーを活用します。
 想定している読者は、特に料理を教わっていないような自炊初心者、アイカツ!あかりGenerationを見て紅林珠璃に近づきたいと思った人などです。
 オリーブオイルとニンニク、トマトというアンダルシア地方やスペイン南部の料理を特徴づける素材を使っていきましょう。
 業務スーパーでの買い物の話、料理の簡単な理論、実際のレシピ、という三つのトピックで書いていきます。(先にこう宣言することでこの後の話が逸れていかないように気をつけている)
(推敲をしていないので、追々修正します。)

1.業務スーパーで買い物をしよう
 ・オリーブオイル
 地中海といえばオリーブオイルなので、何はともあれオリーブオイルを買いましょう。
 業務スーパーの店頭には、選ぶほどの選択肢はないと思いますが、大抵イタリアかスペインからの輸入品なので、そんなに香りの悪いものはないはずです。
 500mlボトルなら600円くらい、1Lボトルなら800円くらいで売っています。
 割高に感じるかもしれませんが、初めてであれば500mlボトルをおすすめします。
 この際は、きちんと「エクストラバージンオリーブオイル」であることを確認してください。「オリーブポマスオイル」という、5段階くらい程度の落ちるオリーブオイルと間違えないように。
 (16日追記:オリーブオイルは紫外線で香りが劣化するので、保管は冷暗所、例えば台所の下の物入れなどにしまってください。すぐ取れる場所に置きたい場合はボトルをアルミホイルでくるむと良いです)

 ・トマト缶
 業務スーパーはトマト缶がとっても安いです。400g缶が税込みで80円ちょっとです。これも地中海料理には欠かせないものなので買いましょう。ホールとカット、どちらもとても便利です。それぞれの利点などは後述しますが、僕は3缶は常備するつもりで買い続けています。(12月21日修正:本稿ではカットトマトを使うレシピのみに修正しました)

2017年12月13日水曜日

ロシアの両刃カミソリ(Saiver〈Сайвер〉 DE 2.0)

くっそ久々に両刃カミソリの話。

 eBay(ヤフオクとアマゾンマーケットプレイスが一緒になったような、アメリカの通販サイト)でロシアの両刃カミソリを買いました。
 商品名は「Russian Army Metal Handle Vintage Double Edge Safety Razor with open COMB new!」、つまりロシア軍金属ハンドルヴィンテージ両刃カミソリ(オープンコーム付き)。

2017年11月19日日曜日

アイカツ!のスペイン料理を精読する(110話編)


アイカツ!のスペイン料理を精読する(110話編)


  アイカツ!あかりGenerationといえば紅林珠璃、紅林珠璃といえば料理が得意なキャラなわけですが、本稿では彼女が作るスペイン料理について考察してみたいと思います。

1.紅林珠璃とカミーノ・セリオ
 ベネディクト・アンダーソンは言いました。「国民国家」とは近代に入ってから(主として言語の共通性によって束ねられることで)生み出された「想像の共同体」であると。(初手白銀リリィ芸)(→wikipedia「想像の共同体」)
 良くも悪くも、国家とは、もとは小さな共同体や教会を中心とした地域社会だったものを、「公定ナショナリズム」によって束ねたものなので、その中身は地域によって様々であることが多いです。現代日本を例にとっても、東京と京都、東北と九州ではまったく風土が異なる。あるいは戦前の沖縄では悪名高い「方言札」があったように、こうした地域的なナショナリズム(ここでは、例えば琉球語)を、国家的なナショナリズム(同様に「標準語」)で抑圧したり吸収したりしながら、国家というものは成立しているわけです。
 というわけで、やはり「スペイン料理」と一口に言っても、本来はスペインの各地域ごとに料理の雰囲気は様々です。

 「国民国家」(nation-state)の成立という観点から言えば、「近代」とは、フランス革命の始まりである1787年かバスティーユ牢獄襲撃の1789年以降ということになりましょうか。ナポレオン率いる国民軍が、「愛国心」による紐帯で結ばれていたことや、その軍事的脅威に接していたドイツが、のちにビスマルク主導で帝政ドイツとして束ねられたことは有名ですね。
 帝政ドイツ以前のあの地域は領邦国家、まあ日本で言えば幕藩体制のようなもので、個々の領邦国家と、フランス全土が一体となったナポレオン軍では、彼我の戦力差はあらゆる面で明らかでした。こうして一度はフランスの侵略を受けたドイツ地域でナショナリズムの高まりが起こり、文化・言語的な面から「ドイツとはそもそもなんなのか」ということを問うムーブメントの中で編纂されたのが、ドイツ各地の民話を収集した『グリム童話』です。
 これもまたご存知の通り、アイカツ!3期のロマンスドレス時代には、グリム童話由来のモチーフが多数登場するので、こうした世界史的な流れはもちろん興味深いのですが、それは今回は主題ではないので忘れましょう。(ここまで全部本論に関係ない)

 スペインの歴史について、アイカツ!に関係のある時代だけ述べるなら、16世紀始めから近代の直前までのスペイン帝国最盛期が注目に値します。このころ、スペイン帝国はアメリカ大陸やフィリピンなどに出張っていってあちこちの文明を滅ぼし征服した(この「征服者」を指す言葉が「コンキスタドール」です)ので、それが141話「ホットスパイシー・ガールズ!」のメキシコ料理のくだりや、149話「ふぞろいのカラーたち」のフィリピン系デザイナー・ムレータ淳朗の話に反映されています。(紅林珠璃とエンシエロ篤はコンキスタドーレスなのかもしれない)
 しかしスペイン帝国は近代の始まりと入れ替わるように徐々に衰退してゆき、第一次大戦こそ中立で乗り切ったものの、その直後にはスペイン内戦が勃発、1939年に集結したものの、国土は大打撃を受け、それから1975年まではフランコ将軍による独裁政権下にあったのでした。で、1978年に現行のスペイン1978年憲法が制定されて、今の体制が出来上がった。
 紅林珠璃のパパであるカミーノ・セリオが生を受けたのは、こういった国でした。
えっ……かわっ……かわい……ええ……(絶句)

 珠璃の初登場が2014年11月20日(最速放送と劇中の日付がリンクしていると考えた場合)で中学1年生。珠璃の誕生日は7月31日ですから、このときは13才ですね。逆算すれば、珠璃が生まれたのは2001年の7月31日。(「アイカツ!世界2013年がメッチャ長い問題」は今は忘れてください。本来はアイカツ史学で使われる「いちご暦」を採用したほうが精緻化できるのですが、そうすると今度は現実との折り合いがつかなくなるので……)
 『アイカツ!』のオトナは全員年齢不詳ですから、カミーノ・セリオの年齢もまたわかりませんが、まあざっくり言って、生まれは70年代(結婚・出産時30歳くらい)から80年代初頭(結婚・出産時20歳くらい)と言ったところでしょう。フランコ体制末期のスペイン国内の雰囲気は存じませんが、後継者の暗殺などもあったわけですから、それなりの文化的混乱はあったのかなあと推測します。
  フランコ体制下では、「スペイン」という単一のナショナリズムを掲げるために、それなりに文化的な締め付けが図られていて、多様な色彩を持つスペイン各地の郷土文化が抑圧されたり、逆にある文化だけが称揚されて、若者からはダセェと思われたりと、いろいろだったそうです。
 「38年間の長きにわたるフランシスコ・フランコ独裁政権は、権力集中化を狙って、徹底した隔離政策、検閲、カトリック教育を行った。唯一、彼に保護された音楽がフラメンコであり、そのため外国でもてはやされているフラメンコも、本国スペインでは多感な若者たちが、最も忌み嫌う音楽となっていた。フラメンコの再評価、及び個性的なスペイン・ロックが続々と出現するのは、フランコ他界後の1980年代初期であり、英米産ロックの物まねを脱して、名実ともにスペイン・ロックと呼べるグループが出現するのは、1980年代も終わりに近づいてからであった。」(wikipedia「フラメンコ」)

 カミーノ・セリオは単なるスペイン料理人ではなく、ひなき曰く「創作スペイン料理で大注目」されたシェフでした。彼が日本に来たきっかけや、「創作スペイン料理」なるものを作るようになったきっかけを知ることはおそらく不可能ですが、フランコ体制末期や崩壊直後に生まれて育ったであろう彼のルーツを考えると、いろいろおもしろいですね。(彼の実家はスペイン・アンダルシアにあり、度々そちらに帰省していることは115話で語られていますから、日本で生活するようになったのはカミーノの代からでしょう。)

 ずいぶんムダ話を入れましたが、ここで確認したかったのは、スペインの歴史と、カミーノ・セリオが「創作スペイン料理」の人であること、の二つです。

 あ!スペインの地理も確認しましょうね!
赤く網掛けになっているのがアンダルシア。最南端ジブラルタルはイギリス領。
  スペインの料理は本来非常に地域色が豊かで、料理以外にも、首都マドリード以北と以南ではまったく文化の色合いが異なります。見ての通り、北端(北大西洋やフランスに接する)は山が多いのに対し、南側は地中海に面しています。さらにアフリカ大陸とも近くイスラムの支配下にあった時期も長かったので、スペインにはイスラム文化の影響も多々あり、「新大陸由来のものを除き、スペイン南部で使われる食材のほとんどはイスラム支配時代に起源を持」ち、米がスペインに入ったのもイスラム由来だそうです。

 というわけで、アンダルシアはスペイン南部であることも覚えておきましょう。
 (wikipedia「スペイン料理」「アンダルシア州」)


2.110話「情熱のサングリアロッサ」
 ようやく飯テロだぞ!

かわいすぎる

 まずは四人が買ってきた物の確認です。

 ひなき:人参、ズッキーニ、玉ねぎ、じゃがいも、セロリ(?)。
 あかり:牛乳、ワインビネガー(?)、飲むヨーグルト(?)、ほか瓶多数
 珠璃:ソーセージ、チーズ、ハム、オリーブの瓶詰め、缶、中身不明の白い箱、缶と思われる何か。 
 スミレ:ロブスター、エビ、ムール貝、魚。

 おそらくひなきは八百屋担当でしょう。
 あかりはえらく重たいものが多いですね。向かって左奥の緑の瓶はオリーブオイルかなあとも思うのですが、のちに登場するオリーブオイルはディスペンサーから出しているのでエンシエロ'sキッチンのものと思われ、買う必要はなく、違う何かかもしれません。(もちろん、キッチンになにがあるか分からず、スペイン料理にオリーブオイルは必須であることを思えば、念のため買ってきたとしてもおかしくはありません。)
 茶色の角瓶はなんでしょうか?前述の緑の瓶と角瓶の間に赤いものが見えますが、これは何なのか。それとも緑の瓶の中に赤い液体が入っているのか?赤なら明らかにオリーブオイルではないことになります。さらに角瓶の左隣にはプルトップの缶が見える気もします。青い蓋にピンクのラベルのクリーム色の瓶は?その右の牛乳瓶のようなものは?
 スミレは海産物担当ですね。特に言うことはありません。このときまだ魚は料理できないはずなので、料理のときは触ってないでしょう。

 人参、じゃがいも、玉ねぎ、キャベツ、バゲット、ナス(?)、瓶詰めの何か、赤いもの、白いもの、トマト、ズッキーニ、ご飯(後にパエリアを作るので)、調味料多数。四角い皿か陶器のバットが多数と、カスエラ(後述)、金属のバットかカトラリー入れ。右端のは何?茶筒?

 オリーブオイルでにんにくを炒めて香りを出す行程と思われる。にんにく丸のまま炒めてない?
(一般に、にんにくは細かく刻むほど香りが立つ)
ムール貝のタパス(タパスとは小皿料理のこと。前菜あるいはおつまみ)

 まず目を引くのはパエリアですね。その右隣にあるのはエビのアヒージョでしょう。そしてサラミ的なものに、ムール貝のタパス。そしてサラダと、画面右下のなんか白いやつ。(画面左下にあるのは、取り皿とみなしました)

 パエリアはひと目見て分かる通り、語るのが非常に難しいので後に回します。
 サラダはレタスと紫キャベツとかでしょう。あまり興味を惹かれないので割愛します。
 画面右下のなんか白い皿はなんですかこれは。はんぺんですか。

 アヒージョのお皿が、さっき書いたカスエラという、耐熱性の陶器のお皿です。陶器だからオーブン調理するものかと思いきや、カスエラは直火OKだそうです。土鍋みたいなものでしょうか。アヒージョは、オリーブオイル、にんにく、鷹の爪、塩がベースで、そこに入れる具材によって、エビのアヒージョになったり、キノコ(マッシュルーム)のアヒージョになったりするそうです。

 サラミ的なものは、スペイン料理であることを考慮すればチョリソだと考えるのが妥当でしょうか。日本でチョリソと言えば辛いソーセージですが、スペインのチョリソはパプリカの赤みがあるだけで、さほど辛くないということですから、そのへんでしょう。ただ、スペインにもサラミはあるらしいので、やっぱりサラミなのかもしれません。じゃあスペインのサラミとチョリソは何が違うの!?知ってる方がいたら教えてください。熟成期間の長短なのかな……(wikipedia「チョリソ」「サラミ」)

 そしてムール貝のタパスが難しすぎる!おそらく三種類の盛り合わせと、彩り兼付け合せのオリーブです。緑、オレンジ、カラフル。
 まずカラフルなやつ(五つ作られている)はアップで映るのでそこから考えましょう。刻んだ生ハムにパプリカ三種と玉ねぎのマリネ、そこにブラックオリーブを乗せているとみていいでしょう。どうみてもカシューナッツの形をしているのは気になりますが、ナッツでは食感もアンバランスな気がしますから、やっぱり玉ねぎってことで良いんじゃないでしょうか。マリネとしてはちょっと具材が少なくも見えますが、もう気にしないことにしました。
 オレンジの、なんか人参の千切りみたいなのが乗ってるのとか、緑のはもうやっぱりわからないので、わからないということにしました。(諦め)
 ムール貝のタパスということで軽く画像検索しても、あまり似た見た目のものがヒットしません。分かる方がおられましたら、情報ください。
 ところで業務スーパーでは冷凍のムール貝を安く売ってることがよくあります。業務スーパー、行こうね?

 さて、いよいよパエリアを考えていきたいと思います。日本では、パエリアといえばエビとムール貝とイカですが、そもそも本場バレンシア地方のPaellaは海産物はあまり使わず、鶏肉と山の幸で作るそうです。なのになぜパエリアと言えば海産物の印象があるのか?ざっとネットを見た限り、この海産物のパエリアは、イスラム教徒を排斥するための、カトリックの“ハレ”の食事なんじゃないかなあと感じました。イスラムは「うろこのない魚」(つまり貝やイカなど)を食べられません。また、スペインのブラッドソーセージであるモルシージャや、それら豚由来の食材を用いた煮込み料理は、13世紀のレコンキスタ(端的に言えばイスラム―キリスト教の勢力の逆転です)や16世紀の(キリスト教を国教とする)スペイン王国成立以後、イスラムからキリスト教への改宗を示す“踏み絵”として機能したようです。魚介のパエリアも同様かなあと。
 とはいえ、魚介のパエリアはスペインのムルシア(アンダルシアとバレンシアの中間で、これまた地中海に面している)で発達したという話や、あるいは逆に魚介のパエリアは20世紀以降ツーリズムへの対応として生まれたと書いてあるウェブサイトもあり、前後関係をここでサッと特定するのは難しいなあといったところで、いい加減本編のパエリアに戻りたいと思います。

これはなに

 一見して分かる通り、パプリカ、さやいんげんなどを用いていないので、伝統的なバレンシアのパエリアではありませんね。
 まず黄色い柑橘が目を引きます。えらくデカく見えるのが気になりますが、まあレモンとかの類でしょう。パエリアには絞りながらいただくためのレモンやライムが添えられることもあるので、たぶんこれは調理してから後乗せしたのでしょう。ただ、中心の二切れの他に、二つ横倒しになったレモン(?)も転がっていますね。どういう盛り付けだ。
 貝はムール貝ではなくアサリ。スペインはアサリの漁獲も盛んですし、日本でも手に入れやすいですから、合理的です。
 刻みネギのように見えるのはパセリ、鍋下端付近のパセリが連なって見えるのでフレッシュパセリと考えられます。
 緑色の塊がちょっと迷うところです。ほとんどはズッキーニらしく見えるのですが、画面下半分あたりのは、くし形に切られたかぼすか何かのようにも見えます。全部ズッキーニか、あるいは一部ライムか。
 くし形のトマトも見えますね。
Juri's kitchenの追いオリーブ
 赤いひらひらしたものがなんなのかは解釈するしかありません。鶏肉ではないでしょう。形が不規則なのでベーコンっぽくもありませんし、生ハムをちぎって入れてるんじゃないかなあ。
 見えていませんが、刻みタマネギは入っていると想定するのが妥当だと思います。
 まとめると、生ハムとアサリのトマトパエリアですね。 
(wikipedia「パエリア」)
 
パエリア鍋、デカくない!?
   
3.実践編
 このパエリアを自宅で作ってみよう!というときのための備忘録です。
 用意するもの。
 米、水、塩(またはコンソメ)、サフラン(ターメリックなどでも可)、白ワイン(料理酒でも可)、にんにく、オリーブオイル。
 玉ねぎ、トマト、ズッキーニ、柑橘類。
 アサリ、生ハム。
 ちょっと難しいのはフレッシュパセリですね。まあ乾燥パセリで代用することになるでしょう。もし家になければ、どうせなら香りが抜けにくい乾燥オレガノを買うのもおすすめです。
 調理器具はフライパンを想定しています。

1.まず、オリーブオイルでにんにくを炒め、香りを出したら、砂抜きしたアサリと白ワインを入れて、フタして蒸して、アサリどもが口を開けたらフライパンから出して、出汁ごとよけておきます。
2.続いて、またオリーブオイルとにんにくで、トマト、ズッキーニを炒めます。大体火が通ったらまたよけます。
3.で、オリーブオイルとにんにくで、今度は米(洗わないでよい。無洗米ならなおよし)と刻みタマネギを透き通るまで炒めます。イイカンジになったら、水・塩・サフラン・アサリの出汁を混ぜたスープと、炒めた野菜を投入します。軽く混ぜて平らに均したら、最後にアサリを投入して、蓋をして炊き上げます。
4.米が炊き上がったら生ハムを切ったりちぎったりしてポイポイし、2分位温めて脂の口溶けをよくしましょう。
5.最後に、見た目良く柑橘類とパセリを盛り付けて、完成です。

 水の分量や火加減、炊き上がるまでの時間は、雰囲気でやってください。ピラフとかと同じです。


 俺も紅林珠璃のPaella食いてえなあ~~~~~~。金か?金を出せば良いのか?
 あと紅林珠璃に人間生ハムにされてえなあ~~~~~~~~~~。
(各リンク先の最終閲覧日はブログ更新日です。)

参考文献(というより、インスピレーション元)
・ホンマチ、、2017、『Aikatsu-meshi episode. 1-50(アイカツ飯1~50話)』
・同、2017、『SHAMOJI LINE ―Aikatsu-meshi episode. 1-101―』
・同、2017、『数によるアイカツ飯分析 序論』

2017年11月16日木曜日

アイカツ!あかりGeneration、紅林珠璃史観試論―紅林珠璃とは何なのか―

アイカツ!あかりGeneration、紅林珠璃史観試論

―紅林珠璃とは何なのか―



 本論稿は、「アイカツ!あかりGeneration」と呼ばれる、アイカツ!102話から178話を、紅林珠璃を中心に読み解くための何らかを見い出すための試論である。
 (「考察」ではあっても「評論」ではないが、コミケなどでのいわゆる「評論系」という括り方に合わせて、拙ブログではこうした記事も全て「評論」でタグ付けする)

目次
1.はじめに
2.あかりGenerationとはなんなのか
 2-1.あかりGenerationはつまらない?
 2-2.「人間の物語」としてのあかりGeneration
 2-3.憧れのはじまり――スケールダウンの正体
 2-4.「アイカツの天井」
 2-5.小括
3.紅林珠璃の物語――出落ちと呼ばないで
 3-1.これは私のストーリー――事後報告される紅林珠璃の「物語」
 3-2.三つのアイデンティティの統合
4.紅林珠璃の役割――「再演」を鍵に読み解く
 4-1.114話と115話――紅林珠璃=中山ユナ説
 4-2.では他のキャラクターの家族は?
 4-3.「再演」のための人員
5.まとめと今後の課題
 まとめ
 参考文献


1.はじめに


 アニメ「アイカツ!」は178話からなるストーリーであり、正確には、2016年4月から番組タイトルが「アイカツスターズ!」に変わり話数がリセットされるまで、一貫して「アイカツ!」というタイトルであった。「アイカツ!あかりGeneration」という呼び名は、一部市販用DVD/Blu-ray[1-1]の商品名が、102話収録分以降「アイカツ!あかりGeneration」(以下、適宜「あかりGeneration」「あかりジェネレーション」「あかジェネ」と呼称)となっている[1-2]ことに由来する。この他、2017年8月に発行されたムック本『アイカツ!あかりGenerationオフィシャルコンプリートブック』も同様の表記となっている。
 これらの用法ではあかジェネとは102話から178話を指すが、論者によっては大空あかり登場時を起点に75話から178話をあかジェネとして論ずる場合や、逆にアバンから星宮いちごが消えた126話から178話をあかジェネとして論ずる可能性もある。本論稿では原則として「あかりGeneration」を102話から178話を指す呼称として扱う[1-3]

 いずれにせよ、このように番組タイトルにも名を付けられている大空あかりがアイカツ!あかりGenerationの主人公であることは明白である。そして、アイカツ!1期2期においてOPソングを歌ったのが、星宮いちご、霧矢あおい、紫吹蘭(と、一部神崎美月)であったように、「あかりGeneration」のOPを歌うのは大空あかり、氷上スミレ、新条ひなきの三人である。
 また、1期2期の主人公・星宮いちごが三人でユニット「ソレイユ」を組んだのと同様に、あかりGenerationの主人公・大空あかりは三人でユニット「ルミナス」を結成する。この、あかり、スミレ、ひなきの三人が特に重要な人物であることについては贅言を要さない。
 しかしあかジェネにはもう一人、重要な人物が存在する。109話から登場し、あかりと同級生でありながら、あかりよりさらに遅くに編入してきた[1-4]、紅林珠璃である。
 1期2期においても、主人公と同学年の主要登場人物はいた。有栖川おとめと藤堂ユリカ、一ノ瀬かえで、付け加えるならば神谷しおん。さらに2期からはドリームアカデミーの四人も登場した。だが紅林珠璃は「女優」のアイドルでありながら、同じく女優業の神谷しおんほどには物語から疎外されず、しかしレギュラーメンバーでありながらも、ユリカやおとめが果たしたようなスターアニス入りやアイカツ8入りは逃している。
 決定的なことには、紅林珠璃はあかり自身を含めた同期生4人のうち、一人だけルミナスに入れていない。珠璃と、「仲の良い三人のうち一人だけアイカツ8に入れなかった新条ひなき」[1-5]は、二人のユニット「情熱★ハラペーニョ」を組んでいたのに、ルミナス結成時にはそれもさほど問題とされなかった。
 「仲の良い三人のうち一人だけ」という言葉に一人だけ含まれていない紅林珠璃……

 この独特の立ち位置の親愛なる同期生、紅林珠璃は、あかりGenerationにおいていかなる役割を果たしているのか。以下はこのテーマで考察していく。本論稿と、未だ書かれざる私の以後の論稿群の最終目的は、あかりGenerationを紅林珠璃に着目して読み解くある種の枠組み、言うなれば「紅林珠璃史観」を提唱することである。 
 なお、本論稿は原則としてアニメ版についてのみ論ずることとし、データカードダスアイカツ!での展開については射程に含めない。消極的理由としては、データカードダスに関するアイカツ史学[1-6]は発展途上であり、参照できる史料が少ないため。積極的な理由としては、本論稿ではあくまでアニメ版での全178話と映画3本[1-7]の体系を考察したいためである。同様に「アイカツ!フォトonステージ」(「フォトカツ」)も射程から外す。

[1-1]:レンタル用DVDなどはこの限りではなく、巻数なども通しで記述される。例えば、102話収録巻は「アイカツ!第35巻」というように。
[1-2]:Amazon「アイカツ! あかりGeneration Blu-ray BOX1」 http://amzn.asia/fQ21WE2
[1-3]:また、アイカツ!の「1期」は1話から50話を、「2期」は51話から101話を、「3期」は102話から152話を、「4期」は153話から178話を指すものとする。
[1-4]:参考までに、wikipediaによれば、アイカツ!109話のテレビ東京での放映は2014年11月20日である。
[1-5]:『アイカツ!あかりGenerationオフィシャルコンプリートブック』(という名の福祉)より
[1-6]:しゅら氏による「アイカツ史」などの試み
[1-7]:映画3本=「劇場版アイカツ!」「アイカツ!ミュージックアワード」「アイカツ!~狙われた魔法のアイカツ!カード~」

2.あかりGenerationとはなんなのか


 本論稿の最終目的があかりGenerationを読み解くための「紅林珠璃史観」の提唱である以上、そもそもあかりGenerationとはなんなのかを、先行研究を参照しながら確認する。


2-1.あかりGenerationはつまらない? 

 きな臭い話から始まるが、あかりGenerationについて批判的に論じた最も有名な論稿の一つがこれであろう。
 「アニメ「アイカツ!」の名を地に落としたあかりジェネレーションについて
 このブログ記事に限らず、「あかりGenerationは1期2期に比べてつまらなくなった」という言説は多い。その理由はいくつか挙げられていて、曰く「スケールダウンした」、「努力や挫折(≒勝負)が描かれていない」、「美少女動物園になっている」などなど。しかしここではそれらの言説が妥当であるかどうかはあまり問題ではない。「おもしろい」「つまらない」自体は主観的なものであり、作品を読解するときにあまり懐疑的にばかりなっても意味はないからである。内田義彦が『読書と社会科学』で書いたように、読解には作者を信じる気持ちと疑う気持ちの両方が必要だ。あるいは「チャリタブルに接する」態度[2-1]
 本論稿ではこうした批判的な指摘や言説も意識にとどめてはおくが、これらの言説はあくまで「紅林珠璃史観」のための手段として扱い、目的・結論とはしない。


2-2.「人間の物語」としてのあかりGeneration

 1期2期とあかりGenerationの構造について、甘粕試金氏が書いた論稿「重力のあるところで(『アイカツ!』あかりジェネレーション178話によせて)」は非常に示唆に富む。甘粕氏はいくつかの論稿を通して、1期2期を“神たる神崎美月と、半神半人のいちご”による“いちごの神殺しの物語”と定義し、あかりGenerationを”神話としての1期2期を「人間の物語」として受け継ぐもの”だと定義している。
 美月が神たる証左としては、彼女の食事の描写の少なさや、シリーズ構成・脚本の加藤陽一氏が「いちごにとっての最高の憧れだから「神」」と明言していることが挙げられる。いちごが半神半人なのは、レジェンドアイドル・マスカレードの血を引きながらも、それが彼女の成功の理由とはされない描写や、お弁当屋の娘で誰より大食い、しかし大空あかりの登場以後は「天才タイプ」として扱われる描写などからである。
 「私はこの一連の「物語」を「王権神授的」と形容したいと思います。」
 「神の位置から格下げされることにより人間の統治が始まるという「物語」」
 要約すれば、甘粕氏の見方は、1期2期が神話で、あかりGenerationは神話を人間の物語として「再演」するもの、ということになるだろう。甘粕氏はおそらく「再演」という言葉は使っていないが、本論稿ではこの「再演」という言葉であかりGenerationを再定義し、それを軸に論を進める。


2-3.憧れのはじまり~スケールダウンの正体~

 大空あかりは、177話でスターライトクイーンに輝いた。これと178話のマラソンをもって、大空あかりは星宮いちごに追いついたと認められる。しかし、本当にあかりはいちごに追いついたのだろうか?『劇場版アイカツ!』でいちごは「よじ登っておいで」と励まし、あかりが「絶対行きます!」と答えたが、あかりは美月といちごの立つトップに到達したのだろうか。おそらく、あかりはこの意味でのトップにはたどり着いていない。
 スターライトクイーンカップは、物語の途中から“中等部の生徒だけが参加するコンテスト”として設定された。神崎美月は結局スターライトクイーンであることには満足せず、さらにアイカツを盛り上げるためにスターライト学園の外に出た。おそらくどう読み解いても、美月の全盛期はスターライトクイーンカップ当時ではなく、それより後にある。また星宮いちごは50話でスターライトクイーンにこそなれなかったが、やはりそれ以後も成長を続け、ついには劇場版で美月を打倒した(=神殺しを果たした)。
 一方で51話時点でスターライトクイーンとなっていた有栖川おとめは、いちご・美月並みの活躍は描かれなかった。
 1期2期を見る限り、スターライトクイーンという肩書はさほど重要ではなさそうに思える。あるいはせいぜいが通過点といったところか。
 この点で、確かに1期2期からあかりGenerationはスケールダウンしている。余談だが、同じくサンライズ制作のアニメ『ガンダムビルドファイターズ』(以下『GBF』)は、主人公コンビが地区予選から全国大会を突破し世界大会優勝を果たして、更には世界を救うまでの物語だが、続編の『ガンダムビルドファイターズトライ』(以下、『GBFT』)は主人公トリオが全国大会優勝を果たしたところで終わっている。皮肉なことに『GBFT』においても「美少女動物園かよ」という批判がよく聞かれた。

 なぜこうした「スケールダウン」が起こったのかについて、筆者は以前、アイカツおじさんの先輩・めりんぎ氏と議論を交わしたことがある。めりんぎ氏は144話『ドッキリアイドル大作戦!』で視聴を断念した。筆者はめりんぎ氏と度々Skype限定アイカツおじさん無関係オーディオコメンタリーを実施していたので、彼ほどの情熱を持つアイカツおじさんが、なぜあかりGenerationの途中で脱落してしまったのか、彼の感じた「つまらなさ」「違和感」がいかなるものなのか理解をしたかった。それを問う筆者に対し、めりんぎ氏も言語化困難な感覚をまとめようと、議論をしてくれた。
 その中で我々は、ひとつの知見を得た。

 いちごとあかりは「憧れのはじまり」が違うのだ。
 星宮いちごのストーリーは、神崎美月のライブを見たことから始まった。 この時点で既に美月は「トップアイドル」であった。しかし、大空あかりのストーリーは、潜在的には12話『WE WISH YOU A MERRY CHRISTMAS』で、中山ユナのためにクリスマスツリーを伐採するいちごを見たところから始まっている。この時点のいちごは「友達のために動くアイドル」である(notトップアイドル)。
 こうして、必ずしもトップアイドルでもない「星宮いちご」という偶像への憧れが、大空あかりのアイカツの始まりであった。

 もちろん、本格的にあかりが「いちごの場所」を目指すようになったのは劇場版でいちごが「トップアイドル」となった時点であるから、少なくとも113話以降のあかりのアイカツは「トップアイドル」を目指しているはずだ、と読み解くことも可能ではあるが、あかりのストーリーはそれ以前から始まっているから、劇場版を境にハッキリと区切ることは難しいだろう。102話から「あかりGeneration」と名付けられていることはもちろんだが、78話で既にあかりはモノローグで「これは、私のストーリー」と語っている。「あかりのストーリー」は遅くとも78話から始まっていて、この時点のいちごは「トップアイドル」ではない。

 憧れのはじまりが終着点を規定する、と断言するつもりはない[2-2]が、あかりのストーリーのスケールダウンは憧れのはじまりによってもある程度規定されていたとは言えるのではないだろうか。

 
2-4.「アイカツの天井」
 
 ともあれ、甘粕氏が最終的に指摘するように、「人-神(=星宮いちご)から「バトン」を受け取った人間(=大空あかり)は、その「物語」の必然的帰結としてスターライトクイーンの座を襲名する運命にあった。(中略)では「スターライトクイーンカップ」とは、原則的に勝ちも負けも生じ得ない状況を設えたうえで大空あかりの戴冠をスムーズに実現させるための場、以外の何かを意味していただろうか?(中略)「クイーン」の座は、(神崎→星宮→からなる「物語」を担がされた大空以外に)目指す意味のあるものだったのだろうか?」というように、「スターライトクイーン」の意味自体も1期2期での(特に2期での)意味からは大きく変質させられ、「王権神授的物語の帰結としてあかりが戴冠されるための場」として作品内で再定義されたのである。
 1期2期および劇場版において、「トップアイドル」という高みは不確定であった。それは1期2期の時点でのトップアイドル・神崎美月が、常に「アイカツを盛り上げる」、「アイカツの未来」を考える人であったためである。「アイカツの天井」(=美月)[2-3]自体が上がっていくので、ほとんどの人はいつまでも天井に手が届くことはない。だがあかりGenerationにおいては、125話のあかりの決意以降、「アイカツの天井」自体が「スターライトクイーンになること」として固定された[2-4]

 アイカツ!178話と映画3本を、筆者なりに戯画的に要約すれば、1期2期は美月といちごによる神話、あかりGenerationはあかりら人間によるその「再演」(縮小再生産)である。
 神話的奇跡は我々の前に現前する時スケールダウンせざるを得ない。誰か、海の上を歩く人、串刺しにされて生き返った人などを見たことがあるだろうか?


2-5.小括

 もちろん、1期2期とあかりGenerationの構造は、完全な下位互換ではない。『GBF』では一人の選手がガンプラを操縦するのが基本だったところに、『GBFT』は三人チームを一般的な公式ルールとすることで、より多くの人間の群像劇を描こうと試みた。同様に、あかりGenerationもまた完全な「再演」だけにはとどまらない。本稿で詳細を述べることはできないが、あかりGenerationの「再演」からの逸脱・解放は、主として4期部分で多く起こっている。
 また、大空あかりの道のりは星宮いちごのそれの単純な反復でもない。2期終盤の時点で、あかりは「いちごちゃんになりたい」という願望を諌められ、「自分だけの輝き」「オリジナルスター☆彡」を見い出すことを勧められた。ここにあらわれているように、大空あかりは星宮いちごの道程を完全になぞることは、少なくともセリフの上では避けられている。そして「自分だけの輝き」の証としてあかりが見出したのが(星宮いちごは果たせなかった)「スターライトクイーンになること」であった。

 だが、あかジェネにおいてあかりはツリーを伐採し、ソレイユを追ってルミナスを結成し(言うまでもなく、両者とも3人ユニットである)、「戴冠式」においてもなお星宮いちごによる承認を必要とした。これらのことからも、あかりが美月―いちごを貫くSHINING LINE*の線上にあることは否定されない。

 あかりGenerationのこの「スケールダウン」の是非は論じても仕方がない。そうなったからそうなったのだ。我々はそうなったあかりGenerationを読み解くための枠組みを考えよう。以後は、あかりGenerationが「1期2期という神話の人間による再演」であることと、そこにおける紅林珠璃の役割を同時並行で挙げてゆく。


[2-1]:「スペクトラム・シャンディ」後掲書、p.22の司会の発言より
[2-2]:なにより、いちごはどの時点においてもスターライトクイーンにはなっていないのだから、「スターライトクイーンのいちごに憧れる」という構図は存在し得ない。それでもあかりがスターライトクイーンを目指している以上、ここでの読解の仕方はおそらく十全ではない。
[2-3]:イマワノキワ「アイカツ!:第150話『星の絆』感想
[2-4]:この天井を固定したのは誰か。甘粕氏の論稿を踏まえれば、これはこの時点で美月から神権を「奪い」、「治水者」となっているいちごだろう。あかりの「スターライトクイーンになります!」という決意表明をいちごが承認した時点で、あかりの、あるいはあかりたちの(本当に「世代」という意味で、あかりジェネレーションのアイドルたちの)、「アイカツの天井」はスターライトクイーンカップに引き下げられ固定されたのだ。


3.紅林珠璃の物語――出落ちと呼ばないで


 ようやく紅林珠璃の話ができる。俺は紅林珠璃の話をしているんだ
 この第3節および次の第4節は、あかりGenerationが1期2期の再演であるという作業仮説を置いた場合、紅林珠璃の役割というものをどのように考えることができるか、ということについての試論です。
 (上の二つの節から少し時間を空けて書いているので、文体がですます調になります。大目に見てください。大目に見ろ。)


3-1.これは私のストーリー ~事後報告される紅林珠璃の「物語」~

  紅林珠璃は、いったい何故スターライト学園に入学し、アイドルになろうとしたのでしょうか?
 その理由は109話で早速提示されますね。幼少期に「親の七光り」を自覚した彼女は、自分の力で一人前の女優になるために、「紅林可憐の娘」として仕事をすることを辞めて、「イチから女優の勉強をし」、13才になってようやく、女優業に戻る決心をしたのでした。[3-1][3-2]
 そしてその彼女なりの課題は109話において早くも(概ね)解消されました。この流れを再確認しましょう。紅林珠璃のアイデンティティは、おそらく大きく三つの柱に分けられます。
 第一に、彼女言うところの「七光り」、つまり「紅林可憐の娘」であること。
 第二に、「私を見て」と言うときの「紅林珠璃自身」。
 第三に、「女優として演じる役」です。
 第三のアイデンティティが、この109話の場合もっとも重要で、同時にちょっと説明が必要かもしれません。「役がアイデンティティになり得るので?」という疑問もあるかもしれませんから。

 109話は紅林珠璃回、つまり紅林珠璃が成長する回です。彼女の成長とは、外形的に見れば、“自分の力で仕事を得られた”ことです。そのための努力として、回想の形で語られる、長い勉強の期間がありました。
 しかし、アイカツ!178話全体を通して共通の法則として、「努力」が「結果」に結びつくためには、何か「気づき」[3-3]、すなわち内面的な成長が必要だということがあります。
 俗なおしゃべりの中では、『アイカツ!』と言えば崖登りやランニングや腹筋など、とかく、いわゆるスポ根的な「特訓」部分が注目されがちです。確かに、『アイカツ!』の公式サイトの「アイカツ!とは」にも「スポ根サクセスストーリー!」とあるように、そうした側面も強く存在します。
 ですが思い返していただきたいのは、その努力が結実するまでには何らかの「気づき」が常にあったということです。例えば6話『サインに夢中!』は、サインを早くきれいに書くための特訓だけではダメで、「サインは顔をあげて」ということに気づく必要がありました。あるいは1期の前半で度々描かれた、高いハードルを課せられたアイドルたちが厳しい特訓を行いながら、いつしか笑顔を忘れてしまい、そこから「笑顔」の大切さに気づいてブレイクスルーへと至る、という筋も同様です。

 「むしろここでは、スポ根的な特訓(サーフロックっぽいBGMが流れる)の描写は反語的な、結果に通じない努力として用意されることが多いのです。[3-4]

 努力(特訓)→気づき・ブレイクスルー→結果、という流れですね。
 
 そう考えたとき、では109話で珠璃の「努力」が「結果」に結びつくための「気づき」とは何だったか。それは、「女優」という芸能についての『アイカツ!』なりの一つの解答(あるいは定義)でした。
 「七光り」についての胸中を語る珠璃に、あかりが「私、珠璃ちゃんとお芝居がしたい。珠璃ちゃんのアイカツ先生とお芝居がしたいんだ!」「珠璃ちゃん、一緒にお芝居しよう!」と声をかけ、珠璃の手を取り振り向かせます。
 そして珠璃はしみじみと、「私はアイカツ先生。紅林可憐の娘でもなく、紅林珠璃でもなく、アイカツ先生なんだ…」と漏らしたのでした。

 珠璃とあかりの会話は、字面だけ見るとあまり噛み合っていません。では文脈や行間を読むとどうか?
 思い出してほしいのは、21話『オシャレ怪盗☆スワロウテイル』です。この時、「演技の心得」についてきたキャプションは「演技とは、誰かの人生をお預かりすること」でした。
 この109話において預かるべき人生とは、「アイカツ先生」の人生です。オーディションに合格し役を得るには、受験者はアイカツ先生になりきらねばなりません。21話でいちごとおとめがスワロウテイルになりきったくらいに。

 しかし、珠璃がアイカツ先生になりきるのを阻む要因もまた、珠璃自身の中にありましたね。それは「(「紅林可憐の娘」でない)紅林珠璃」として周りから見て欲しいという思いです。
 ユリカがユリカらしさを貫いた反面スワロウテイルになりきれなかったように、「紅林珠璃」という我が強すぎるとアイカツ先生の「人生をお預かり」できない、というわけですね。そしてあかりが先の発言でその我をうまく抑えたおかげで、紅林珠璃は先に挙げた3つのアイデンティティをうまく統合することができました。紅林珠璃のストーリーにおいて、彼女の一番の困難は、この「アイデンティティの統合」でした。


3-2.三つのアイデンティティの統合

 続く110話も同様の方法で読解してみることができます。
 110話「情熱のサングリアロッサ」では、『アイカツ先生』劇中のアイカツ先生と情熱を失った寒杉校長(?)の間の問題と、現実の紅林珠璃と「燃え尽きてしまった」エンシエロ篤の間の問題がパラレル(相似形)になっています[3-5]
 当初は、アイカツ先生を演じるための自分の(冷えてしまった)情熱を取り戻すために、エンシエロのドレスを得ようとする珠璃ですが、彼の元を訪れてみると、エンシエロは冷めてしまっていました。そんな彼に「もう一度ドレスと向き合う情熱を取り戻」させるために、珠璃たちは奮闘するのですが、スペイン料理でも闘牛士の熱い舞でもバラの花束でも、エンシエロを奮起させることはできません[3-6]

 それでも最終的に、珠璃はエンシエロの情熱を再び燃え上がらせるわけですが、これはなぜ可能になったのでしょうか。
 夕暮れの埠頭で、「やっぱり私には、心を凍らせてしまった人を温めることなんてできないのかな」と俯く珠璃は、しかし突然まなじりを決して、フラメンコを踊ります。そしてエンシエロに対し「あなたの炎はまだ消えていない。なぜなら私は、アンダルシアの熱い風があなたから吹き付けるのを確かに感じたのだから」という言葉をぶつけ、彼の情熱を引き出すことができたわけです。
 ここでの説得の論理は明確です。エンシエロの情熱はまだ燃え尽きていない、彼自身のうちからアンダルシアの熱い風が吹き付けてくる。アンダルシアに似た風が吹く街に留まっていることもその証左だ、と。
 突然ですが、97話「秘密の手紙と見えない星」を思い出してみましょう。自分の成長の“停滞”に悩むあかりに対して、いちごは「輝いていても、それが自分じゃ分からなくなっちゃうことがあるんだよ」と説得します。自分で分からなくてもちゃんと輝いてるから諦めるな、という説得の論理。110話で用いられている論理は、これと類似のものですし、(ここで例示をするのは煩雑になるので割愛しますが、)「内なる輝きの発見/再発見」(輝き)と、「その発見/再発見の手助けをする人」(輝きを見出す人)という論理は『アイカツ!』全体を通しても頻繁に出てきます。
 

 論理はおなじみ。しかし110話の特異性は、その「“再発見”を手助けする」側の人である珠璃自身が、情熱=輝きを失っていたはずであることです。
 いつも熱い珠璃が「なんだか寒い」ということは、既にあかりとスミレの口から語られていますし、エンシエロに対しても同様の感想を持っています。落ち込んでいた珠璃は何故フラメンコを踊る気になったのでしょうか[3-7]?冷えていたはずの珠璃がエンシエロに分けるための情熱を、どこから引き出してきたのでしょうか?
 熱力学の話をしたいわけではありませんが、冷めた者同士で熱を分け合うことはできませんから、熱はどこからか持ってこなければならない(もし珠璃自身がそれを己のうちから無理なく生み出せるのならば、そもそも自分の演技に対する情熱に迷いを抱いていません)。つまり“熱源”の所在が問題なのです。

 これは少々無理筋な解釈かもしれませんが、珠璃は「アイカツ先生」というアイデンティティから“熱”を引き出してきたと私は考えています。

 この根拠を説明するには、少々の後ずさりが必要です。
 前項で、109話で「紅林可憐の娘」「紅林珠璃自身」「(アイカツ先生という)演じるべき役」の三つのアイデンティティを統合した、と言いましたが、この「統合」は必ずしも「一つになった」という意味ではありません。神学上の三位一体説を聞きかじったことのある方なら分かると思いますが、父・キリスト・精霊がそれぞれありながら、同時に一体の神として存在するわけですね。珠璃のアイデンティティもそんな感じで、三つの柱それぞれの間を揺れ動き続けます。私が「統合」と言ったのは、この三柱を珠璃自身がきちんと認識して受け入れた、くらいの意味です。
 そして109話で珠璃が掴んだアイカツ先生という役は、ジョニー先生からの説明を聞く限り、別にフラメンコを踊ったり三段ステップ[3-8]を踏む先生ではなく、単に情熱あふれる先生という感じです。事前練習では他に三段ステップを踏んでいる生徒が見当たりませんし、オーディションの中でもそういった要素はありません[3-9]。アイカツ先生の情熱を表現するための手法として、珠璃がそれまで身につけてきたフラメンコ要素を役・ドラマに“輸入”したと考えられます。
 そして110話Aパート、スミレと珠璃の練習シーンで珠璃は、いつも通りの三段ステップを踏んでいますが、珠璃はこれでは納得出来ないといいます。ただステップを踏んでも、それは「紅林珠璃」であって、必要なアイカツ先生像にはならないのでしょう。
 さらに、珠璃はパパの助言も受け、ママが苦悩した経験から、Sangria Rosaのプレミアムレアドレスを得ようと思い立ちました。ここでは、ママ=可憐さんは109話に引き続き「紅林珠璃さん」と呼びかけてくれていますが、それでもやはり、“ママの経験”を聞こうとするのは、「紅林可憐の娘」であることを前提としていますね。そして結果としてこの試みは順当には行かないことを我々は既に知っています。

 「紅林珠璃自身」も「紅林可憐の娘」も、どちらのアイデンティティも、悩みを抱え、冷めてしまっています。だからアイカツ先生の演技もうまくいかず、エンシエロの情熱を引き出すこともできません。

 しかし、珠璃にはもう一つアイデンティティがあります。それが「アイカツ先生」です。110話で垣間見える、実際に放送されているドラマ『アイカツ先生』のアイカツ先生は、(現実の珠璃とは違って[3-10]、)一度として弱音を吐いていません。「アイカツ先生」は冷めていないわけです。

 フラメンコを踊る前の珠璃は、この「アイカツ先生」というアイデンティティから“熱”を引き出して、エンシエロに見せていたのではないか。これが私の解釈です。
 踊りだす前の「やっぱり私には、心を凍らせてしまった人を温めることなんてできないのかな」という独白で「やっぱり」が意味しているのは、アイカツ先生の役作りの上での悩みでしょう。ここで珠璃は自分が演じるべきアイカツ先生のことを思い出したはずです。アイカツ先生の役作りに、どれほど珠璃が悩もうと冷めようと、アイカツ先生はただ寒杉校長と対峙するだけです。寒杉校長の情熱を引き出さねばならないから、そうするのです。アイカツ先生がそうしなければならないからそうするのならば、ただ行為をもって示すしかないのならば、女優たる紅林珠璃は、ただその「アイカツ先生」というアイデンティティをも演じきるほかないのです。
(12月19日追記:このことを端的に示唆している(とこじつけられる)のは、エンシエロを再燃させたのが、料理や闘牛のお芝居や花を贈ることではなく、言葉をぶつけることであった点です。アイカツ先生は寒杉校長に料理や闘牛や花なんか贈らず、ただ言葉をぶつけますから。そしてもちろん、実生活で、言葉をぶつけるだけでも人は励ませるんだと学んだ珠璃は、言葉・セリフの力を信じて演じられることでしょう。これが、堅実な意味で、珠璃が自分の演技に納得できたことの理由付けになります。)

 しかし、だからこそ珠璃が110話で踊ってみせた「熱いフラメンコ」は、珠璃の個性である「フラメンコ」と、「アイカツ先生」からいわば前借り[3-11]した“熱”の合作です。エンシエロの前に立っていたのは、半ば珠璃であり、半ばアイカツ先生であったと言う方が、私の解釈に近い表現でしょうか。
 これが功を奏し、エンシエロのうちに残っていた情熱を再び燃え上がらせることができました。結果、エンシエロは再起し、珠璃の悩みも解消されました。
 
 というわけで、110話もまた、珠璃の「三つのアイデンティティの統合」という側面から読むことができる、ということを確認しました。

(2017年11月18日追記:ところで、珠璃はエンシエロのうちにいかなる“熱”を感じ取ったのでしょうか。プレミアムドレスを作るような気分になれず、スミレが「寒い」と評したエンシエロのうちに十分な“熱”がないのは明らかです。ではその燃えさしのようなもの、くすぶる想いをどこから読み取ったのか。
 珠璃はあかりたちに「彼の魂はまだ冷え切ってない。そう感じるの」、「それに彼はまだ、アンダルシアの風が吹くこの街に住んでる」と語りました。また、バラの花束を渡されたエンシエロは「でも、ごめん……僕のロッサは……」と呟いている。
 この辺から考えると、珠璃が感じ取った“熱”の正体は、私には、エンシエロを「この街」に引き止めていた未練、あるいは期待のようなものだったのではないかと思われます。本当に燃え尽きてしまったのなら、「この街」にいる必要はないわけです。エンシエロは、自分では燃え尽きたと言いながら、心のどこかで、「この街」の熱い風が再び自分を燃え上がらせてくれることを期待していたのではないでしょうか。そこに訪れたのが、「アイカツのアツい風」紅林珠璃だったのですから、これはもう運命的でしょう。そして珠璃は彼のロッサ=ミューズとなったわけです。この辺のミューズ論は下記注3-5の鶴論稿に詳しいので、重ねて読んでみてください)

[3-1]:今更ですが、女優になるためにアイドル学校に入学、というのはすごい設定ですね。『アイカツ!』において「アイドル」という職業は、ほとんど「芸能」という分野を包括する勢いです。
[3-2]:この幼少期の珠璃の葛藤は回想の形で語られました。甘粕氏が言うところの「事後報告」の構造です。(リンクは後掲)
[3-3]:これも甘粕氏の言葉です。
[3-4]:We sell HELL and suffer well「アイカツ!シーズン2を追想する & 劇場版アイカツ!を妄想する
[3-5]:この珠璃とエンシエロの間の相互作用については、既に優れた論稿があるので、そちらもご参照ください。(→「君は光るダイヤモンド:【アイカツ!110話】童話シンデレラから考えるSangriaRosaミューズ概念【悠久のシンデレラ】」)
[3-6]:冷静に考えて女子中学生が4人がかりでここまでのことしてるのに奮起しないこの胸毛モジャモジャオジサンはらいちや太田くん並みに叩かれてしかるべきではないでしょうか。
[3-7]:だって、落ち込んでるときなんて、飯食うのも風呂入るのも面倒じゃないですか。そんなときに、どうしてフラメンコなんて踊れますか?
[3-8]:珠璃の三段ステップのことを、私はTwitterではずっと「3カメ話法」と呼んでいたので、以後ブログでもそう記述することもあるかもしれません。
[3-9]:サッカーでシュートを決めるシーンは3カットの強調なので、ここは要議論ですね。
[3-10]:また、画面の中の「アイカツ先生」は、キメポーズこそ見せるものの、三段ステップではないことも頭の片隅に留めておきましょうか。本論稿では使い道は思いついてませんが、何か使えるかもしれません。
[3-11]:前借りだと考えなければ、論理的に、珠璃にはもうSangria Rosaのプレミアムレアドレスが必要がないということになってしまいます。

4.紅林珠璃の役割


 3節は少々冗長になってしまいました。そろそろ本題に入りましょう。
 109話と110話で、登場早々、ストーリーの「事後報告」と成長を済ませ、ドレスも手に入れた紅林珠璃は、その後あまり大きな成長が描かれることは無いように思われます。
 なのに、紅林珠璃というキャラクターがあかりGenerationに配置されているのは何故なのか。本節はそこを「再演」という観点から読み解くために、114話と115話を取り上げます。


4-1.114話と115話――紅林珠璃=中山ユナ説

 114話「ハッピーツリークリスマス☆」はクリスマス回にして、12話以来のツリー伐採回でもあります。
 ここで伐採に出向いたのはあかり、スミレ、ひなきの三人だけで、珠璃は仕事のために別行動でした。思い出してほしいのは、12話では有栖川おとめもちゃんと伐採に出向いて、その後のクリスマスステージにも立ったことです。珠璃……

 しかし、この114話で12話の「再演」をするために、紅林珠璃は誰よりも大きな役割を果たしています。
 みなさんご承知の通り、このとき、あかりにツリー伐採という目的を与えたのは、珠璃でした。珠璃がスターライトのクリスマスパーティに憧れていたこと、さらに、12話での星宮いちごの奮闘をちゃんと見ていた上に「素敵だなあって感動した」ことも語られます。ここで、珠璃が案外あかりに似たところがあると示されています。

珠璃「やっぱりスターライトのクリスマスパーティは、あのツリーあってこそ!」
あかり「うん!」
珠璃「悔しい、本当に悔しいよ!番宣がなければ、私も一緒に木を切りに行くのに!」
あかり「うん……ん?」
 (中略)
珠璃「おっきなツリー、楽しみにしてるよ!チャオ!」

 この珠璃の「無茶振り」があればこそ、あかりはツリー伐採を決意できたのでした。つまり、珠璃が114話に登場しなければあかりはツリーを伐採するきっかけがありませんでした。
 なぜなら、12話においていちごがツリーを切ろうとしたのは、寂しがっている友達・中山ユナのためでしたが、あかりたちの世代のクリスマスパーティには、そういう意味で悩みを抱えている生徒はいないからです。
 ここでは一応、珠璃が無茶振りをすることで、ツリーを切りに行くための動機づけになっています。そして、「ツリーが大きすぎてロケバスでは運べない!」という井津藻見輝の役立たずっぷりは12話のままで、そこに救いの手を差し伸べる植木屋さんの役どころは、珠璃のママによって担われます。
 ここで114話について覚えておいて欲しいことは、ツリー伐採の動機づけという観点から言えば「中山ユナ=紅林珠璃」であることです。
 ですが、珠璃の動機づけがあってツリーを切っても、そこには「理由」(励まされるべき悩み)[4-1]がないので、これだけでは、実は「再演」も空虚になってしまいますが、それを解決するのが115話です。
 登場時間は雲泥の差ですが、「再演」という観点から見ると、114話と115話はともに紅林珠璃回として読解することができます。

 115話「ほっこり☆和正月」で初手濃厚なあか珠璃を叩き込まれた我々は、この先もあか珠璃が続くのかと期待をしていました。しかし、まあ結果としてそういうことはありませんでした。あかりはskips♪ではまどかと、Luminasではひなき、スミレとユニットを組みました。一方の珠璃は、情熱★ハラペーニョでひなきと、バニラチリペッパーでは凛、まどかとユニットを組みました。あかりと珠璃のユニットは成立しませんでした。
 ならばなぜ、他のキャラクターを差し置いて、115話であかりの実家に招かれたのが紅林珠璃だったのでしょうか。

 それは、115話が114話に引き続き、12話の「再演」のための回だからです。

 中山ユナは、いつもは両親と海外で過ごしていたクリスマスを一人で過ごすことを寂しがっていましたが、115話の珠璃は、いつもは両親と海外で過ごしたお正月を一人で過ごすことになってしまった。珠璃はユナほど露骨に寂しがってはいませんが、構図としては「お正月の珠璃=クリスマスのユナ」です。

  さらに、114話のツリー伐採には、「動機」はあっても「理由」はなかった。珠璃はユナのように悩んではいません。ですが、お正月の珠璃には励まされるべき悩みがあり、あかりはそれを実家に招くという形で解決しようとしているのです。

 そして実家に招かれた珠璃は、あかりとあかりママ・あかりパパのやり取りを見て、あかりへの理解を深めたり、また珠璃からのあかり評が視聴者に提示されるなど、いろいろ大事なシーンがあるのですが、ここで着目すべきは一番最後、ステージを終えた珠璃が楽屋から廊下で会話する大空家を見ての独白です。

 「ふふっ、どこにいてもやっぱり仲良し家族だなあ。そういえば、うちのパパとママも、いつも私のステージのあと、あそこが、ここがって、熱く感想を伝えてくれるっけ。
 パパ、ママ……いつもありがとう」[4-2]
 そして珠璃が振り返った楽屋のテーブル上には、両親から届いたと思しき、花束と年賀状、ミニ門松、写真、テディベア。
 これもまた、12話ラストで両親と再開した中山ユナと相似形です。さすがに、珠璃のもとに両親が駆けつけることはありませんが。

 ユナを励ますためにツリーを切ったいちご。
 その「再演」のためには、ツリー伐採だけではまだ半分でした。115話であかりが珠璃を励ますために実家に招くことで、ようやく外形的なツリー伐採と、「友達を励ますため」という内面的な「理由」の両方が充足され、「再演」が完成するのです。


4-2.では他のキャラクターの家族は?

 114話と115話がセットで12話の「再演」になっている、と読むので、115話の中心人物が紅林珠璃であることに無理はありません(114話の中心人物は紅林珠璃ですからね。間違いない)が、一応、他のキャラについても考えてみましょう。

 スミレはそもそも、家族についての描写が非常に弱いキャラクターです。
 ひなきは芸歴が長く、親子仲は良好そうですが、イベントに家族が揃わないという経験は少なくなさそうです。[4-3]

 ですが、珠璃は家族の描写が濃いキャラクターです。話を先取りするなら、実際に、この四人どころか、あかりGenerationの誰よりも家族の登場が多かったですね。まどかのおばあちゃんである天羽あすかの出番は確かに多いですが、話への介入の具合は、珠璃ママ・珠璃パパとは異なります。

 それに、「再演」という観点ではなく、紅林珠璃の「三つのアイデンティティの統合」という観点から読解するならば、115話は「紅林可憐の娘」というアイデンティティの話として読むことができます。
 109話、110話では、可憐と珠璃は、意識的に親子という上下関係を後景に退け、「同じ女優」としての水平的な関係を強調しようとしてきました。しかし115話で、大空家の両親にあかりの頑張り屋の秘密を見た珠璃は、あかりを形作った両親と同様に、珠璃自身を形作った両親という上下の関係も好意的に受け入れることができました。
 「紅林可憐の娘」である自分もちゃんと受け入れた。この点で115話は紅林珠璃の「三つのアイデンティティの統合」によって成長する回です。この回の成長は、『アイカツ!』における成長描写の基本である、「ステージでの成功」や「プレミアムレアドレスの獲得」と結び付けられるようなドラマティックな描かれ方ではありませんが、やはり紅林珠璃の内面を読み解く上では大切な回です。

 逆に、スミレとひなきにはこうした課題(彼女たち自身の内での家族関係の緊張)がそもそも存在しませんから、こうした話にはなりません。


4-3.「再演」のための人員

 個人的な成長が描かれた109話、110話に比べれば活躍っぷりがトーンダウンした紅林珠璃[4-4]は、しかし114話と115話において、あかりがいちごの「再演」を遂行するための欠かせない役割を果たしていました。
 そして、ここでの紅林珠璃は中山ユナなので、いちユナがカップリングとして成立しないように、あか珠璃もこれだけではカップリングとして成立しないのかもしれません。
 紅林珠璃は、こういった、劇中の登場人物でありながら、若干メタ的な役割を担うキャラクターとして配置されているのではないでしょうか?

[4-1]:ここでは「動機」と「理由」をここだけで通用する仕方で使い分けています。「動機」を外形的なものとして扱い、「理由」を「励まさねばならない悩み」として用いることを、ご承知おきください。
[4-2]:ここの紅林珠璃の笑い方とても色っぽくて良いですね。
[4-3]:そう考えると、13年間そんな寂しさを味わっていたひなきと、仕事復帰して久々にそんな感覚を味わった珠璃のひな珠璃はイケそうですね。誰か書いてください。
[4-4]:109話初登場の紅林珠璃が、112話直後の時系列である『劇場版アイカツ!』に一人だけ出演できず、スクリーンデビューを『ミュージックアワード』まで待たねばならなかった。そういうこと、忘れちゃダメだよ……

5.まとめと今後の課題


 すっかり長くなってしまいました。いい加減まとめに入りましょう。

 本稿で述べたかったのは、紅林珠璃の活躍の場は劇中や劇中劇でありながら、同時に半メタ的な役割をも担っている、ということを語るための諸々の前提です。

 その「半メタ的な役割」の代表的なものは「再演」ですが、おそらくあかりGeneration全体を見渡せば、役割はそれだけには留まらないと私は考えています。
 ですが、この「試論」で扱えたのは、あかりGeneration全77話のうち、たったの4話に過ぎません。115話以前は片付いたと考えても、63話も残っています。今後の「紅林珠璃史観」確立のための論稿では、まず単純に残りの話をどんどん分析していく必要があります。「半メタ的な役割」というものについて述べるのもその作業の中でやっていくということで、今後の課題とします。

 「紅林珠璃史観」は、単にあかりGenerationの中の紅林珠璃に着目することを最終目的とするものではありません。紅林珠璃が果たした役割に注目しながら、あかりGenerationという物語自体の枠組みや体系、主題、あるいは細部の調和を再確認することも必要です。
 紅林珠璃という「要素」の分析を通して、同時にあかりGenerationという「構造」を分析するための枠組み。それが「紅林珠璃史観」[5-1]の目指す姿です。

 一方で、この「要素」への下降と、「構造」への上昇という分析は、分析自体のトートロジーに陥る危険性も孕んでいるでしょう。
 本稿で取り上げた話でも、114話・115話の分析は、あかジェネが1期2期の「再演」であるという構造を前提視しながら、紅林珠璃=中山ユナ役割という要素に下降していますし、逆にそうした要素から構造に上昇することで、あかジェネを「再演」として結論づけています[5-2]
 この同義反復が、「紅林珠璃史観」の精緻さを担保する上でどの程度致命的なものなのか、あるいはそうでもないのか、私にはよく分かっていません。皆様のご指導ご鞭撻をお待ちしております。

 本論稿は、サークル「スペクトラム・シャンディ」発行の同人誌『『アイカツ!』には何が描かれているのか?』の記述に多くを依っています。特に4節で行った114話・115話についての分析は、p49の末吉氏による分析がなければありえませんでした。そもそも、これほど真剣に『アイカツ!』を読解しようとするモチベーション自体、本誌がなければ存在し得なかったでしょう。
 また、110話についての読解は、鶴氏がTwitterで呟いていた紅林珠璃論稿の構想から着想を得ました。
 みなさまに一方的にお礼を言わせていただきます。ありがとうございました。

 思えば、初めての本格的な『アイカツ!』読解記事ということで、私の『アイカツ!』読解の前提も記述したために、随分と長くなってしまいました。少し肩に力を入れすぎたかもしれませんね。
 次回以降はもう少しちゃんと、まとまりのある記事にしていきたいと思います。

 ともあれ、私は私なりの『アイカツ!』解釈をし*、こうして投稿することで「解釈のアリーナ」[5-3]に投げ込みたいと思います。今はただ、この論稿が「解釈のアリーナ」で、少しでも多くの闘士たちに読まれることを願うばかりです。
 せっかく書いたからには読まれてほしい!
 しかしまあ、紫吹蘭的に言えば、ランウェイが自分のための滑走路でないように、「解釈のアリーナ」もまた自分のためではなく、みんなで『アイカツ!』をより深く楽しむための場だと言えそうですから、我だけを通しても仕方ないのですが。でも読まれたいよなあ!よろしくな!


 
[5-1]:単に紅林珠璃の歩みを確認するだけでは、それは「紅林珠璃史」になってしまうのではないでしょうか。
[5-2]:本論稿で私が述べているのは、「あかりGenerationは1期2期の再演であり、その役割を果たしているのが紅林珠璃である」ということと、「紅林珠璃のかくかくの行為は、『再演』のためのものである」ということです。しかし、本稿で取り扱うべき「紅林珠璃のかくかくの行為」というものの選定自体が、「再演」という構造があるという前提(あるいは偏見)によってなされている以上、選定された行為が「再演」的な役割を持っているというのは、ある意味で当然のことで、トートロジー的詭弁にすぎないのかもしれません。
[5-3]:『アイカツ!』を読解し、それを提示する営みを指す、視線と沈黙氏の言葉。


まとめ

・紅林珠璃とは、徹頭徹尾「演技する人」である。
・そのために紅林珠璃は、複数のアイデンティティを持つ。
・「演技する人」である紅林珠璃は、あかりGeneration全体を、1期2期の再演として微調整する役割を果たせる。
・それだけでなく、紅林珠璃はあかりGenerationにおいて「半メタ的な役割」を多く果たすキャラクターであることを示すのが、今後の課題である。
(・「三つのアイデンティティの統合」という言葉は、「統合」よりも「調和」くらいの方が適しているかも?)



その他参考文献

・wikipedia「アイカツ!(アニメ)」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%84!_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1)
・ピクシブ百科事典「アイカツ8」
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%848
・内田義彦『読書と社会科学』
・イマワノキワ「アイカツ!:第150話『星の絆』感想
・イマワノキワ「アイカツ!:第151話『ステージの光』感想
・短文以上長文未満の妄言「アイカツ!3期の考察のようなもの 大空あかりを追いかけて
・oshogatsuの日記「星宮さんと大空さんのこと
・すのふら「あかりジェネレーションはどんな物語だったのか
末吉氏
しゅら氏
視線と沈黙氏(Twitterアカウントが休眠期or鍵なことがあります)
鶴氏
ホンマチ、氏

及び、「アイカツ!紅林珠璃論稿のための覚え書き~紅林珠璃 考察まとめ~」に挙げているリンク先すべて。


2017年11月12日日曜日

万年筆を普段使いする話。(プラチナ萬年筆編)

 今日び、普段使い用の万年筆って全然高くないんですよね。
 いろんなメーカーが1,000円から3,000円くらいの商品を普及型モデルとして位置づけて出してますけど、今日は200円の万年筆ことプラチナ萬年筆社の「Preppy(プレピー)」の話から始めます。

 と思ったけど、まずは今後の用語の確認をします。

ペンタブを使って書いたクソ字をご覧ください

1.Preppy買え!
  Preppyは、0.3mm(細字・F)と、0.5mm(中字・M)が200円、そして0.2mm(極細字・EF)が300円で売ってます。どれもペン先はステンレス製で、ペンポイント(紙と接する部分。書き味に影響するところ)はイリドスミンという合金が使われてます。
 本体カラーは0.3mmが一番豊富で、本体カラーに合わせてインクもいろんな色があります。公式サイト見るといいでしょう。
 http://www.platinum-pen.co.jp/fountain_preppy.html

 Preppyはどれも書き味が割と良く、しかもインクが乾きにくい「スリップシール機構」というものが搭載されているので、ボールペン代わりに普段使いにしてみるのも悪くありません。

 でもPreppyには大きな欠点がひとつ!
 それはキャップの根本が割れやすいこと!

 万年筆のキャップは、ネジ式と咬合式(パチンと嵌めるタイプ)があり、通常、ネジ式が密閉性に優れ、咬合式は低価格の商品に使われます。
 このPreppyは咬合式なのですが、本体に使われているポリカーボネートが割れやすいんですな。
 普通に使ってても半年くらいしかもちません。

 一応、ユーザーの間では、キャップの根本にセロテープやアルミテープなどを巻いて補強するという手が推奨されていますが、あまり効果的とは思えませんでした。

2.デスクペン買え!
 さて!そんな問題に悩まされない商品もあります!
 それは同社のデスクペンです!
 http://www.platinum-pen.co.jp/deskpen_03.html

 再生AS樹脂のボディ(キャップは再生PE樹脂)は、買って一年くらい経ちますが未だに割れていません。少し粘り気のある感触の樹脂なので、その辺が良いのでしょう。
 また、ペン先もステンレスに金メッキなので、少し柔らかい書き味です。定価が700円とかなので、ちょうど値段分書き味が良くなっている感じです。

 でもこのデスクペンを普段使いするには欠点がひとつ!
 それは胴軸がメッチャ長いこと!
 Preppyの本体長が実測で約14cmなのに対し、
 デスクペン(DPQ-700A)の本体長は実測で約18.5cm。
 これを胸ポケットに差すというわけにいきません。
 
3.組み替えろ!
 これらの問題を解決する秘策!
 パーツの組み換えです。

 プラチナ萬年筆のいくつかの商品は、各部の規格が共通化されており、デスクペンのキャップ、デスクペンの首軸、そしてPreppyの胴軸を組み合わせるといい感じになります。
 割れにくいキャップ、ちょっと良い書き味、短い本体。これが最強。
 で、これにカーボンインクのカートリッジを差すのがアドです。


 
4.まとめ(プレジールを買え!)
 というわけで、Preppyとデスクペンを買うと良いんじゃないですか、という話でした。

 でも!他のやり方もあります!

 プラチナ萬年筆の商品では、Preppyとデスクペンの他にも、Preppyの外装だけちょっとキレイにしたプレジールという定価1,000円の商品が同規格です。

 これは、キャップと胴軸が金属で、そこに各色のメッキが施されていて、ちょっとだけ見た目がイイカンジです。太さは全部0.3mmです。
 プレジールを持っていないので試したことないですが、プレジールのキャップ、デスクペンの首軸(またはPreppyの首軸)、プレジールの胴軸を組み合わせれば、キレイじゃないかと思います。
 首軸とペン先は一体なので、線の太さも好みのとおりにできますね。


 http://amzn.asia/fsOsjQI

 プレジール、欲しい!
 (本音)
 
 ただ、プレジールもキャップは普通に割れると聞いているので、いずれ買って試してみようと思います。
 という心意気の備忘録でした。


 

2017年11月4日土曜日

アイカツスターズ!新OP「MUSIC of DREAM!!!」について語ろう

アイカツスターズ!新OP「MUSIC of DREAM!!!」について語ろう

 『アイカツスターズ!』もついに第2シーズン後半戦に突入し、第76話からはOP/EDともに新曲がやってまいりましたね。1
 その名も「MUSIC of DREAM!!!」と「森のひかりのピルエット」。
 今回は前者の「MUSIC of DREAM!!!」について語るんですけども。
 (本論稿では、「MUSIC of DREAM!!!」を、歴代OPとアイドルたちの「個性」、「アンセム」などの観点を踏まえて語ります)

2017年10月10日火曜日

紅林珠璃と世界史(141話と149話)

 紅林珠璃はいいねえ。見ていると俺もアツくアイカツしたくなる。
 まあそういうわけで、今日は紅林珠璃と世界史の話します。

 紅林珠璃は、日本人の母 ・紅林可憐と、スペイン人の父・カミーノ・セリオの間に生を受けたハーフ。でも、実際のところ彼女のアイデンティティはかなりのところスペインに寄っていますね。そもそも、紅林可憐からして、スペイン人デザイナー・エンシエロ篤のブランド「サングリアロッサ」を愛用していてますから、まあスペインが好きな人なんでしょう。
 まあ、せっかくのハーフキャラを日本人としてアイデンティファイしても大しておもしろくならないですから、珠璃は限りなくスペイン的な人物として見ていいでしょう。少なくとも、作業仮説としてならば、「紅林珠璃はスペインのメタファー」くらいに言ってもいい。

 で、まあ、そういう変わったバックボーンを持つ紅林珠璃は、あかりGenerationのなかでも結構変わったエピソードを多く持っています。
 110話では、スペイン人デザイナー・エンシエロ篤との対面。
 115話ではあかりちゃんのご両親への挨拶。結婚待ったなし。ドナーニャの砂丘と土地と文化の話。
 141話では世界激辛フェスでメキシコ人シェフと協力。
 149話ではエンシエロの一番弟子・ムレータ淳朗を発奮させる。

 で、みなさんも観てて気付いたと思うんですが、世界史の観点から考えると、141話と149話は結構センシティブな話題を扱っていますね。その二話について書きます!読め!


目次
1.141話『ホットスパイシー・ガールズ!』
2.149話『ふぞろいのカラーたち』
 2-1.アイカツ界の「周縁」、バニラチリペッパー
3.課題
~~~~~

2017年10月9日月曜日

両刃カミソリで生きていく


 ひげ剃りをコストカットする話。節約、しよう!

目次
1.ダイソーに行け
2.まとめ

~~~

1.ダイソーに行け

 まず、ご近所のダイソーか、少し遠くの品揃えのいいダイソーに行きます。
 そして歯ブラシとかひげ剃りのエリアに行くと、両刃カミソリのホルダーがあるんですね。無い?クレーム入れて別の店行け。(取り寄せてもらうとダース単位で買うことになるので)
 それを引っ掴んだら、次はヘアブラシやコームのエリアに行きます。
 するとなんかよくわかんねーけどヘアカットコームとかそんな感じの、コームと髪切るのが一体化したようなモンが売ってるので、その近所にあるはずのそれ用の替刃を取ります。3ケースくらい。(30枚)

 そしたら店を出ましょう。(その前に会計)

2017年9月25日月曜日

アイカツ!紅林珠璃論稿のための覚え書き~紅林珠璃 考察まとめ~

 アイカツ!あかりGenerationと呼ばれる、102話から178話までの物語の登場人物・紅林珠璃についていずれ何かを述べるときのための覚え書きです。紅林珠璃についての先行研究リストとも言う。
 各記事タイトルの見出しが、元サイトへのリンクになっています。

2017年9月24日日曜日

寄稿文『旧世紀エヴァンゲリオン FAKE GENESIS EVANGELION 鋼鉄の宴』第十章前半



第十章前半

「赤城」「葛城」の二艦は、ソビエト艦隊の猛攻を受けながらも、巧みに敵艦隊の進路を誘導した。その結果、死力を尽くして逃げ回る二隻の空母を遂に沈めた時点でのソビエト艦隊の航路は「大和」「日向」の斜め後方を三十ノット程度で追走するような形になっていたのである。ミハイルは 戦場からの離脱を命じたが、そこに「イリノイ」を仕留めた日本の水雷戦隊と重巡洋艦群が襲いかかった。

2017年9月21日木曜日

DCDアイカツスターズ!~レアドレスを奪取せよ~

データカードダス(以下、DCD)アイカツスターズ!のカード排出の法則について、備忘録。
星のツバサ第3弾の内容。

(プレイした体感で書いているので、間違った情報があったらすみません。)

 以下、一着一揃いの服のまとまりを「コーデ」と記述します。

目次
1.服の区分
2.カードのレア度
3.カード排出機会
4.カードの抽選
5.グレードチェンジ
6.グレードチェンジまとめ
7.アクセサリー
8.今後の課題


 まあ、グレードチェンジ関連だけ読めば十分です。


2017年9月19日火曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第12話「We wish you a merry Christmas!」

第12話「We wish you a merry Christmas!」

【あらすじ】 
 いよいよスターライト学園のクリスマスパーティ。スペシャルライブの出番もあるのに、いちごは実行委員に立候補。自分の準備も早々に終わらせ、クラスメイトたちの分も手伝う。お祭り好きで、困っている人を見過ごせないいちごの性分はここでも発揮され、東奔西走、八面六臂、獅子奮迅の大活躍。
 「ねえいちごちゃん、味付けみてみて」
 「オッケー!」

 「いちごちゃん!ちょっと教えて!」
 「オッケー!」

 「いちごー、ちょっと手伝ってー」
 「オッケー!」

 「でっかいスピーカーもあるといいよね」
 「オッケー!」

 「七面鳥食べたいなあ……」
 「オッケー!」

 「ねえいちご、こっちの相談乗ってもらってもいい?」
 「オッケー!」

 パーティ本番を前にして、みんな大変ながらもワクワクが収まらず、おしゃべりも笑い声も絶えない。そんな中、一人だけテーブルで黙々と輪繋ぎを作る生徒が。彼女は中山ユナ。元気が売りのアイドルなのに、今日は全然元気そうじゃない。
 いちごが事情を聞くと、例年は両親とともにクリスマスを過ごしているのに、今年は両親が仕事で一緒にクリスマスを迎えられないという。ニューヨークのタイムズスクエア前で見た大きなクリスマスツリーの思い出を語るユナの様子を見て、いちごは友達のために自分が何かできないかと思案する。

 せめて楽しくクリスマスを過ごせるように……大きなクリスマスツリーだけでも再現しよう!
 というわけで、いちご、あおい、蘭、おとめは、掃除のお兄さん(涼川)に伐採のための道具一式を借り、スターライト学園のクリスマスパーティの様子を取材していたテレビ局(“TKYテレビ”)の井津藻見輝(いつも みてる)さんのロケバンに乗って、一路エンジェリーマウンテンに向かう。

 エンジェリーマウンテンで一番大きな針葉樹を、みんなで力を合わせて伐採。エンジェリーシュガーの出入りの植木屋さんの助けも得て、学園までツリーを持ち帰る。
 いざ飾り付け、と行きたいところだけど、いちごたち四人はそろそろクリスマスステージの時間だ!
 どうしようかと悩むいちごに、クラスメイトたちが「あとは私達に任せて」と声をかける。

 一方、ユナは自室にいた。もう準備は終わって、パーティを楽しむしかないけど、そんな気分にはなれなかった。ひとりでいちごたちのクリスマスステージの中継を観る。
 クリスマスステージの曲は『We wish you a merry Christmas』。
 ステージの最後に、いちごがカメラに向かって笑顔で「ステキなクリスマスを!きっと外に出たら、良いことありますよ!」と語りかける。
 
 せっかくのクリスマスパーティだし、顔だけでも出してみようかな……と部屋を出たユナが見たのは、まるで両親と見たあのクリスマスツリーのように、大きな大きな、輝くクリスマスツリー。
 感極まるユナに、背中から声をかけたのは、なんとユナの両親。
 「パパ!ママ!」
 「遅くなってごめんね」
 家族みんなで過ごすクリスマスを楽しみにしていたのは、ユナも両親も同じだった。
 抱擁を交わす三人を、いちごたちもまた嬉しい気持ちで見つめていた。

*****

 学園長室の電気は消えていて、窓からは中庭のイルミネーションの光が差している。その光に背を向け、織姫学園長は誰かと電話をしている。
 「メリークリスマス。久しぶりね。
 ええ、報告があってね。まだ誰にも話していないんだけど、新年早々に組ませようと思ってるの。
 いちごちゃんと、美月を」
 織姫学園長は、もう新年のことを考えていた。学園の生徒がクリスマスパーティを楽しめるように段取りを終えたら、もう次のことに取り組む。光石織姫は、常にスターライトの未来に向けて進み続ける人であった。

2017年7月7日金曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第11話「おとめは誰かに恋してる」

第11話「おとめは誰かに恋してる」


【あらすじ】
 アイドルは恋愛禁止!なのに有栖川おとめが掃除のお兄さんに恋をした!?と思ったけど別にそんなことはなかったぜ!
 以上!!

2017年7月5日水曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第10話「虹色のおとめ」

 第10話「虹色のおとめ」


 ある朝、またしても遅刻寸前のいちごとあおい。なんと今朝は蘭も遅刻ペース。
 「おかしい……私は遅刻キャラじゃなかったはず……」
 そんな三人の目の前で、一人の生徒が校舎前の広場の噴水に転落する。腰掛け程度の高さまで周囲を囲われている噴水になぜ転落する?と疑問に思いながらも手を貸し引っ張り上げる蘭。事情を聞くと、水しぶきが作り出す虹を手でつかもうとしていたら「ぼちゃ~ん!」したという。
 「ありがとう、おとめ感激!ぺこぺこり~ん」
 タオルを差し出すいちごへの感謝の言葉も独特だ。その時あおいが気付いた。このびしょ濡れの少女は、有栖川おとめ。天真爛漫な性格と独特の言葉づかいが大衆にウケ、第17回全国ポップガールコンテストでグランプリを獲得し、その後“ポップンポップコーン”“ウキウキポップキャンディー”“キャピっと冷やしてヒエヒエアイスバー”など、主にお菓子・スイーツのCMに数多く出演している。おとめは別のクラスだったため、これまで三人はあまり見慣れていなかったのだ。

 さて、次に訪れたオーディションは、クリスマスイブの日に開催される学内クリスマスパーティのための特設ステージ出演オーディション。しかしこのステージに立てるのはなんと三人だけ。既にその日に学外での仕事のオファーがある生徒を除けば、ほぼ全生徒が参加するという非常に厳しいオーディションだ。トーナメント形式で、二人が同時にステージに立ち、どちらがより観客を盛り上げたかで勝者が決まる“対決ライブ”形式だ。そしてなんと、いちごの一回戦の相手は、有栖川おとめ。
 おとめは芸歴もいちごより長く、いちごと同じく天然キャラ同士、そして普通ならくじけそうなところでもまったくへこたれない強さも持ち合わせるおとめとの対決に、心配を露わにするあおいと蘭。しかしいちごは、CMキャラそのままのかわいさに胸打たれ、おとめとの対決を楽しみにしていた。

2017年7月3日月曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第9話「Move on Now!」

第9話「Move on Now!」


 いちご、あおい、蘭の三人が受けると決めた“スペシャルオーディション”とは、スターライト学園が定期的に開く、生徒の成長を判定するためのオーディション、いわば自主的に参加する定期試験だ。個人のセンス・パフォーマンスのほどが採点されるのはもちろん、ユニットとしてふさわしい協調を見せられるかも判定される。アイドルは必ず二人以上でユニットを組んで参加するのはそのためだ。
 スペシャルオーディションは、ひとかどのアイドルとして名を成す大前提でもある。それだけに、合格にはプレミアムドレスの着用がほぼ必須である。プレミアムドレスのアイカツカード(“プレミアムレアカード”)は、各ブランドのトップデザイナーに認められたアイドルでなければ手に入れることができない。すなわち、知名度と、ブランドの方向性に合わせて自らのカラーをセルフプロデュースする能力が必要となる。もちろん、不正を防ぐために、プレミアムドレスは手渡しでないと授受できないことになっている。
 つまるところ、スペシャルオーディションには、個人のパフォーマンス、デザイナーからの承認の証としてのプレミアムドレス、仲間とのチームワークの三つを備えて、高い次元で調和させ、本番で披露することが必要なのだ。それを達成し、合格した者は、“歌の心得”をもらえる。“心得”とは、そのアイドルの能力が一定の水準に達した時に学園から授与される証である。「歌の心得」以外にもいくつかあり、それを複数保有しているということは、単純にその能力の高さと、幅広さの証となる。
 もちろん、これらは神崎美月も通った道のりだ。

2017年7月2日日曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第8話「地下の太陽」

第8話「地下の太陽」


  ある日ジョニー先生が予告したのは、“センセーショナルスチューデントオーディション”の開催。蘭曰く、「学園長主催で、各学年ごとにその年もっともセンセーショナル、つまり、世の中の注目を集めた生徒を決めるオーディション」とのこと。クラスメイトはみな「今年も蘭がトップ候補ね」とざわめく。しかし蘭の表情は厳しい。なんと、これまで何度も、毎年最終選考で競り合った生徒がいるという。蘭に並ぶほど注目を集める生徒がこのクラスにいただろうか……と、怪訝に思うあおい。
 そのとき、サングラスをかけた一人の生徒が教室に乱入してくる。彼女の名は三ノ輪ヒカリ。抜群のダンスパフォーマンスと歌唱力、類い稀なタレント性を誇るが、スターライト学園の地下にあるスタジオから自身が配信するネットライブでのみ活動し、メジャーシーンには一切登場しないという変わり者。ネットライブは何か月間も開かれ、その期間中は地下から一切出てこず、もちろん授業にも出席しないので、実はいちご、あおいとも同じクラスなのに、二人は出会ったことがなかった。
 「まぶしっ……」と呟きながらサングラスを外す姿に、もうあおいといちごはメロメロ。そしてそう、彼女こそ年に一度センセーショナルスチューデントオーディションで対決する、蘭の永遠のライバルだった。


2017年7月1日土曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第7話「つぶやきにご用心」

第7話「つぶやきにご用心」


 ITの進歩はアイドルの活動も変える。ファンとの交流はアイドルの生命線、SNSの登場は距離感の近い交流を可能にした。
 特に“キラキラッター”は140文字程度の「つぶやき」を投稿したり、他者のアカウントに「リプライ」を送ったりできる、手軽なコミュニケーション・ネットワーク機能が受け、今や人気アイドルは“キラキラッター”にアカウントを持つのが普通となった。それは女性アイドルに限らず、例えばオリコン上位にも食い込む男性インディーズバンド“More Than True”のリーダー・NAOのアカウントなどは、大変なフォロワー数を誇る。
 せっかくなのでと、情報強者のあおいにキラキラッターを設定してもらったいちご。初めはおもしろみが分からなかったが、太田のアカウントからリプライが来たり、フォロワーが増えたりと、徐々に楽しみを見つけていく。一方蘭は「あたしは、ネットで誰かとつながってたいとは思わない」と、クールなスタンス。


2017年6月30日金曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第6話「サインに夢中!」

第6話「サインに夢中!」


 ニコポップレモンのグラビア撮影の仕事に来たいちごと蘭。初めての撮影に、仕事も忘れてはしゃぎっぱなしのいちご。
 「星宮、プリクラ撮ってんじゃねーんだぞ」
 美しき刃だけに、ドスを効かせた声で叱りつける紫吹蘭であった。

 そんな二人の仲睦まじいオフショットが雑誌の読者プレゼントになる。アイドルのブロマイド写真といえば、手書きのサインがお約束。さすがに慣れた手つきでサインを済ませる蘭。サインペンを手渡され、いちごがふと気づく。

 「どうしよう!私、サイン持ってない!」

~~~

2017年6月29日木曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第5話「ラン!ランウェイ!」

 ついに来たぞ。紫吹蘭の本格参戦だ。お前ら覚悟はいいか。刃傷沙汰だからな。



飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第4話「Oh!My!Fan!」

 「Listen!ハニー達!カメラ目線はアイドルの初歩の初歩!動くカメラに自慢のポーズをキメてやれ!」
 ジョニー先生がいつものジャージ姿で、センテンスごとにポーズをキメながら生徒に激を飛ばす。
 動くカメラは、スターライト学園の特訓備品の一つだ。三輪の台座から二つの関節を持つアームで繋がれたカメラが、プログラム制御され縦横高低自在に動き回る。標準的な指導要領としては4台が用いられ、それぞれが順々に撮影ポジションに着くと自動的にシャッターが切られる。このカメラはアイドルの準備を待たない。アイドルがカメラのタイミングに自分の準備を合わせるのだ。さらに実力が向上すると、台数を増やすか、複数台が同時にシャッターを切るようになる。カメラ目線とポージングをマスターしたならば、次はより素早いポージングや、隙のない横顔をマスターする必要がある。
 この特訓にも食らいついてゆくあおい、これまた翻弄される一方のいちご。
 「微笑むのはカメラに向かってじゃない!カメラの向こう側にだ!」
 「む、向こう側……?」
 ジョニー先生の激も、まだまだいちごにはしっくりこない。


  アイカツは毎日の特訓の積み重ねだ。オーディションを勝ち抜くには、それ相応の実力を身に着けなければならない。それは漫然と授業を受けているだけで得られるようなものではない。衣装のセンスと同様に、実力もまたセルフプロデュースなのだ。

 あおいと二人一組で、たこ焼き屋のキャンペーンキャラクターオーディションを受けることにしたいちごは、足腰の錬成のために学外での朝ランニングを始めた。前回のライブオーディション(第2話:臨時マネージャー)であおいと同時にステージに上がりながらも、ダンス中に転倒したいちごは合格できなかった。二人一組となれば、あおいの足をひっぱるわけにはいかない。
 「アイ、カツ、アイ、カツ……」歩調は自分で取る。
 2キロ走り、4キロ走り。だんだん息が上がってきた。一人で歩調を取っているから、呼吸のリズムを取るのが難しい。なんだか脚も痛いし、苦しいし、それになにより……だんだん、寂しくなってきた。


2017年6月27日火曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第3話「あなたをもっと知りたくて」

 トップアイドル・神崎美月の一日マネージャーになる資格を得た霧矢あおいは、その当日の前の晩に、神崎美月について改めて予習・復習をしていた。

 神崎美月は小学4年生のときに、小学生向けファッション誌のモデルとしてデビューしたが、それからすぐ、一年間活動を休止した。そして中学生になると同時にスターライト学園に入学し、歌もダンスも完璧なアイドルとして再登場、そのまま一気にアイドル界のトップに君臨した。
 また、美月はスターライト学園(中等部)の首席・“スターライトクイーン”の称号も持つ。スターライトクイーンには学園内に一般寮とは別の専用の寮が用意され、美月もそこで暮らしている。
 今一つ神崎美月のことを知らなかった星宮いちごはただただ、あおいの知識と、神崎美月の天才ぶりに感嘆する。

2017年6月26日月曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第2話「アイドルがいっぱい!」

 念願果たしてスターライト学園の編入試験に合格した星宮いちごと霧矢あおい。スターライトは全寮制なので、二人とも家を出て相部屋の寮生活となる。

 「この門を越えたら、私たちのアイカツが本当に始まる」
 正門を見上げながら、そう自分たちを鼓舞する霧矢あおい。しかしその直後、あのアイドルやこのアイドルが敷地内を歩き回っているのを生で見て、アイドルオタク博士のあおいは大興奮。まだまだキモオタいちファンの感覚が抜けきらないあおいであった。
 

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第1話「私がアイドルになっても?」



 弁当屋の娘として育ち、毎日学校と店の手伝いで忙しくしていても、私たちのような中学生の有り余る気力と体力と時間を使い果たすことはできなかった。

 ある日、幼なじみで親友の霧矢あおいが、神崎美月というアイドルのライブに誘ってくれた。出所は訊かなかった。あおいが差し出した2枚のチケットを見たとき、私はふと、深夜に金券ショップに忍び込み、真っ暗闇の中で金券を盗み出した時のことを思い出した。外に出て月明かりの下で確認したら、私が掴み取ったのはビール券だった。
 「このライブ、20歳未満でも入れる?」
 もちろん大丈夫だった。
 でも私の弟、星宮らいちは神崎美月のファンだったし、あおいのこともとても慕っていたので、私はそのチケットをあおいとらいちに使ってもらうことにした。

 当日。そのライブ会場はとても混雑していたし、ダフ屋が売り歩くチケットは私が買えるような値段ではなかった。入り口ではもぎりの係員が猛烈な速度で観客をさばいていた。私は会場の周りをしばらくうろうろして、なにか入れる方法がないか探した。
 裏手に搬入業者用の通用口とおぼしきドアがあり、その周りは上端に有刺鉄線が配されたフェンスで囲われ、さらにそのフェンスは南京錠で施錠されていた。私は左右をちょっと見まわして、誰もいないことを確認すると、ポケットから小さなスパナを二本取り出して、両方の先端部を南京錠のフックに差し込み、テコの要領で力を込めた。簡単に開いた。

 会場内に入れれば観覧できるかと思っていたが、意外にも観覧席は立ち見エリアまでも明確に区分けされていて、その振り分けの際にも係員が客のチケットを確認していた。チケットを持たない私は通用口の方に引き返した。コンクリート打ちっぱなしの廊下を歩きながら、会場の天井付近のキャットウォークにつながる道を探し、数分してようやく見つけた。背負っているリュックを引っかけないように注意しながらはしごを登り、照明が設置された骨組みに座り込んだ。
 はるか眼下では、信じられないくらいの人数がひしめきあいながら、みんなが神崎美月のライブを心待ちにしている。あの中にはあおいもらいちもいる。私はこんな場所から見ているが、周りに人がいないのは快適だった。
  持ってきたお弁当を食べながらライブの始まりを待つ。持ってきた紅茶を照明の熱で温め直すこともできた。一番の特等席がこんなところにあるとは誰も思っていないだろう。
 
*****

2017年3月18日土曜日

プロテインの話

 私はたまにプロテインを飲んでるんですが、それについて書こうかなと。

 要点としては、ボディプラスインターナショナル社が出している「バルクスポーツ」っていうブランドの「ビッグホエイ」シリーズを買おう!と、まあそういう話になります。


 買えよ「ビッグホエイ


2017年2月20日月曜日

業務スーパー探究のススメ

 「業務スーパーはいいぞ」の標語で、今やネット界を席巻している神戸物産。

 もしかしたらこの標語は神戸物産じゃなくて『Girls und Panzer』についてのものだったかもしれないし、席巻しているのは筆者の脳内だけかもしれないけど、まあそういうことはさておき。

 業務スーパーでおいしいものをネット上で探索するときに便利な方法を書きます。

 1.まずは「業務スーパー おすすめ」、「業務スーパー 当たり」、「業務スーパー リピート」辺りで検索。

 2.それで頭打ちになってきたら、何か自分の好きな業務スーパー商品で検索
 例)「業務スーパー 春巻」、「業務スーパー カスタードプリン」、「業務スーパー パスタソース」
 すると、その商品が含まれている個人ブログなどの「私のオススメ商品20選!」みたいな記事がヒットして、芋づる式に新しい商品が開拓できる、という寸法。

 みんなも試してみよう!

 業務スーパーオタクからの提言でした。


2017年2月17日金曜日

土用の丑の日じゃない日にうなぎを食う!! ~業務スーパー冷凍うなぎ蒲焼~

業務スーパー!!

冷凍うなぎ蒲焼!!

今は一尾で880円かな!?
店によって違うかも!!

湯煎して食べよう!!

業務スーパーの商品、ネットでイマイチと言われているものは、
半分くらいは調理者がズボラ調理をしているからだったりする。
唐揚げはレンジでチンじゃなく、ちゃんとディープフライしないとおいしくないし、
冷凍うなぎはアッツアツに湯煎しないとおいしくない。

安い冷凍うなぎは、脂がのっているので、高級うなぎとはまったく違うけど、食べごたえがある。

大量のご飯と、丸ごと一尾のうなぎ蒲焼という大富豪みたいなメシを楽しもう!!

蒲焼のたれ(4尾分くらいはある)と、 
Hachiの山椒(90円くらい)を買っても、
一回当たり1000円弱!!


買うしかない!!

まあとにかく、一尾丸ごとうな丼は一度やったらやめられない!!
やれ!!

脂たっぷりガッツリうな丼、みんなも味わってくれよな!! 



パスタソースの話は忘れろ!!

2017年2月3日金曜日

2017年1月23日月曜日

ごたくはいいから業務スーパーに行け ~男なら 神戸物産に スジ通せ~③

業務スーパー攻略シリーズその3
おかず編

 (あんまり写真とか増やさない方が、自分の好みにも合うし、逆に個性になるかも、と思ったので、とりあえず写真なしで公開します。)

目次
・やわらか煮豚
・レトルトパウチの煮魚
・700gのブロックベーコン
・瓶詰のそぼろ
・鶏トロ唐揚げ
・メンチカツ
・カニクリームコロッケ

*****


・やわらか煮豚

 ごたくはいいから買え。いいわけは聞きたくねえ。

2017年1月22日日曜日

ごたくはいいから業務スーパーに行け ~男なら 神戸物産に スジ通せ~②

業務スーパー攻略シリーズその2
お菓子・スイーツ編

(商品画像は随時追加。公式サイトからの引用あり)

目次
・豊田乳業の1リットルスイーツ
・ツイスターズチョコバー
・シリアル
・ヘーゼルナッツリッチチョコビスケット
・ローストココナッツチップス
・ソイキューブのリッチチーズケーキ

・チョコレートタルト
・パラタ
・チュロス
・ごま団子
・缶入りのスプレーホイップ

*****

2017年1月15日日曜日

寄稿文『旧世紀エヴァンゲリオン FAKE GENESIS EVANGELION 鋼鉄の宴』第八章後半

第八章後半

 ミハイル・イワノヴィッチ・ロボフは、巡洋艦「キーロフ」対艦レーダーに映った2隻の大型艦の艦影が、彼の予測した戦艦では無く、空母であったことを双眼鏡で確認しても、顔色を変えなかった。ミハイルの座乗する巡洋艦「キーロフ」は、ソビエト連邦が保有する新鋭の巡洋艦である。

ごたくはいいから業務スーパーに行け ~男なら 神戸物産に スジ通せ~①

 業務用のスーパーって楽しいよね。
 コストコも憧れるけど、あそこは会員制だし、ホントに販売単位がデカいし、大抵僻地にあるから、車を持っていないような我々貧困層には厳しい。
 でもコストコはときどきスーパーに出張してくるから、それをアテにしよう!豊洲のスーパービバホームとか!

 まあコストコの話はさておき。今日は業務用スーパーの中でも、我々貧困層に優しいお店、
 「業務スーパー」(神戸物産)の話です。



 業務スーパーに初めて行っても、何を買ったらいいのか迷って物怖じしないための記事にしたいね。
 初めての場所で状況を統制するために必要な指針は?
 そうだね、OODAループだね。


1.監視
2.状況判断
3.意思決定
4.行動

2017年1月13日金曜日

貧困層でもできる初心者向けランニング入門 ~BORN TO RUN!走らない奴は人非人だ!~

ちょっとした健康のためにランニングを始めたいけど、お金をかけたくない人向けの文章。
ついでにケガや痛みを避けるための話も少し。
(筆者は東京在住なので、もっと寒い地域の人はここで書いてあるよりもう少し服に工夫が必要かも)

1.買うべきもの

2.ランニング理論

3.実践編


~~~~~~~~~~

1.買うべきもの


上半身:速乾性のTシャツ。 +ウインドブレーカー(冬用)。
下半身:速乾性の半ズボン。 or 薄手の長ズボン。(冬用)
靴:ワークマンの「建さん2」。 (+パイルの靴下)
 何よりも大切なのは、この「建さん2」を買うこと。他のものは後から揃えても良い。