2017年7月5日水曜日

飽きたら終わりだ!アイカツ!感想。第10話「虹色のおとめ」

 第10話「虹色のおとめ」


 ある朝、またしても遅刻寸前のいちごとあおい。なんと今朝は蘭も遅刻ペース。
 「おかしい……私は遅刻キャラじゃなかったはず……」
 そんな三人の目の前で、一人の生徒が校舎前の広場の噴水に転落する。腰掛け程度の高さまで周囲を囲われている噴水になぜ転落する?と疑問に思いながらも手を貸し引っ張り上げる蘭。事情を聞くと、水しぶきが作り出す虹を手でつかもうとしていたら「ぼちゃ~ん!」したという。
 「ありがとう、おとめ感激!ぺこぺこり~ん」
 タオルを差し出すいちごへの感謝の言葉も独特だ。その時あおいが気付いた。このびしょ濡れの少女は、有栖川おとめ。天真爛漫な性格と独特の言葉づかいが大衆にウケ、第17回全国ポップガールコンテストでグランプリを獲得し、その後“ポップンポップコーン”“ウキウキポップキャンディー”“キャピっと冷やしてヒエヒエアイスバー”など、主にお菓子・スイーツのCMに数多く出演している。おとめは別のクラスだったため、これまで三人はあまり見慣れていなかったのだ。

 さて、次に訪れたオーディションは、クリスマスイブの日に開催される学内クリスマスパーティのための特設ステージ出演オーディション。しかしこのステージに立てるのはなんと三人だけ。既にその日に学外での仕事のオファーがある生徒を除けば、ほぼ全生徒が参加するという非常に厳しいオーディションだ。トーナメント形式で、二人が同時にステージに立ち、どちらがより観客を盛り上げたかで勝者が決まる“対決ライブ”形式だ。そしてなんと、いちごの一回戦の相手は、有栖川おとめ。
 おとめは芸歴もいちごより長く、いちごと同じく天然キャラ同士、そして普通ならくじけそうなところでもまったくへこたれない強さも持ち合わせるおとめとの対決に、心配を露わにするあおいと蘭。しかしいちごは、CMキャラそのままのかわいさに胸打たれ、おとめとの対決を楽しみにしていた。



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 今一つ危機感のないいちごのために、あおいと蘭はおとめの分析を始める。バラエティ番組のインタビューでは、おとめがいかに自身がCMキャラクターを勤めるお菓子が本当に好きかが語られていた。それに、お菓子を食べた後は運動して体型維持を欠かさないとも。おとめは並外れた天然だが、同時に並外れた努力家なのだ。こんな分析を始めたのは、いちごの危機感のなさのためだけではない。二人はその朝、掃除のお兄さんから「有栖川おとめとの対決を楽しみにしてるようじゃ、星宮いちごは勝てない」と、不穏な言葉を聞かされていたからだ。
 いちごもランニング中に、木立ちの合間でなにやらポーズを取っているおとめを見かける。白鳥みたいなポーズ、と指摘するいちごにおとめは驚く。おとめは来年のお仕事で白鳥の役をやるために、空を飛ぶ白鳥のイメージトレーニングをしていたからだ。自分はドジだから人の何倍も練習する、それでも本番前は緊張するから、もっともっと練習をするのだ、と語るおとめ。
  おとめの努力家ぶりを目の当たりにしたいちごは触発され、自分もがんばらねばと、一層ランニングと筋トレに励む。しかし、筋肉痛になるまでやっても、特に意味があるようには思えなかった。

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 ある朝、ランニング中のいちごは掃除のお兄さんと出会う。いちごは、掃除のお兄さんの先の指摘を知らないが、それでも、どことなく頼りになるこの掃除のお兄さんに、特訓がうまくいっていないように思われることを相談する。
 「歌詞は心に沁みたのか?」
 掃除のお兄さんは、なにやら真剣に話に乗ってくれた。
 「え?」
 「お前の胸に刺さったのか?」
 にわかに熱気を帯び始めた掃除のお兄さんの問いかけに、わけもわからぬまま、「お、覚えてはいますけど……」と返すいちごに、「『覚えてる』?ありえねぇ……歌詞は聴いてる奴らへのメッセージだ!ただ覚えるんじゃなくて、お前の魂の叫びにしろ」と、いつになく熱血な掃除のお兄さん。
 その日はしばらく、歌詞カードを見ながら、歌をかみしめていた。
 課題曲は“ Angel Snow ”。冬の街で、秘めた熱い恋心を胸にデートに臨む少女の曲。もし今日雨が雪に変わったなら、初雪記念日のキスをしてしまおう――という、いたずら心にまぎれた熱い想いが織り込まれた歌詞だ。
 気付けばいちごはおとめと出会った噴水にいて、ちょうどおとめもそこに来た。今は冬で、しかも今日は曇り空。にも関わらず、二人の眼前でちょうど雲が割れ、angel's ladder――天使のはしご――が一筋。一瞬だけだが虹を作り出す。おとめが見ていたものを、ようやくいちごも見ることができた。
 二人はひとつの虹に、お互いの健闘を祈り、ベストを尽くすことを誓った。

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 本番直前、気勢を上げるいちご、あおい、蘭の前に現れ激励をしていく。
 「『クリスマスの奇跡』。奇跡って、起こるのを待つんじゃなくて、起こすものだよ。がんばって」
 控室では、緊張した面持ちのおとめを、いちごが手を取って励ます。対決ライブであっても、同じステージに立つ者同士。アイドルシップを持って、常にフェアなステージでなければ意味がない。

 結果は、わずかな差でいちごの勝利。いちごのパフォーマンスを絶賛し、二回戦進出を祝福するおとめだったが、気付かぬうちに頬には熱いものが伝っていた。
 「ど、どうして、ほんとにいちごちゃんのことおめでとうって思ってるのに……涙が出てきたよぉ……な、泣いたりしてごめんね!おとめも自分でびっくり仰天、ビックリクリ~!」
 おとめにとっては初めての悔し涙。いちごを祝福する気持ちも本当なら、その悔しさも、真剣ゆえに本物だった。
 そこに学園長とジョニー先生が現われる。あおいと蘭の一回戦突破の報と、敗者復活戦“リベンジオーディション”が開かれることを伝えに来たのだった。例年になくレベルの高い参加者が多かったために、クリスマスパーティでステージに立つ人数を増やすことになったのだ。もちろん、おとめにもチャンスが再来することとなる。
 これもまた、おとめがたゆまず努力をし自らのレベルを引き上げた結果、起こした奇跡だ。

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【総論】
 新キャラ・有栖川おとめ!あまりに個性的なキャラに、初見の人間は一発で前頭葉を焼かれて考えることをやめることになる。

【今日の美しき刃】
出会った日の夜、朝のお礼に訪れたおとめ
「今朝は本当にありがとう、これ、いっしょにどうですか?」
LLサイズのボックスに困惑し絶句する蘭(ここすき)
「えっ、あ~……悪いな、夜は甘い物は控えてるんだ……」
メゲぬ、ショゲぬ、省みぬ
 「あっ!じゃあ、いちご味じゃなくて塩味にします!」
 「いや、そういうことじゃ」「おやすみなさい!」
なんとも言えない表情(ここすき)





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