2017年9月24日日曜日

寄稿文『旧世紀エヴァンゲリオン FAKE GENESIS EVANGELION 鋼鉄の宴』第十章前半



第十章前半

「赤城」「葛城」の二艦は、ソビエト艦隊の猛攻を受けながらも、巧みに敵艦隊の進路を誘導した。その結果、死力を尽くして逃げ回る二隻の空母を遂に沈めた時点でのソビエト艦隊の航路は「大和」「日向」の斜め後方を三十ノット程度で追走するような形になっていたのである。ミハイルは 戦場からの離脱を命じたが、そこに「イリノイ」を仕留めた日本の水雷戦隊と重巡洋艦群が襲いかかった。


 敵味方入り乱れての壮絶な海戦を闘っている巡洋艦「大淀」の司令塔で、この船の艦長、碇シンジは、なにかに怒っていた。
(なんで、僕がこんな目にあわなきゃいけないんだ…)
 僅か数千メートルの至近距離で行われている砲雷撃戦は、シンジに否応なく昨夜の「酒匂」との望まぬ交戦を思い起こさせた。
(いつもそうだ。なにもかも、僕の思い通りには進んでくれない。なにもかもが、僕から奪われていく。なんで……)
 前方を進む駆逐艦が直撃弾を受け、火柱を上げた。
「前方の「朝霧」に敵弾命中、轟沈します」
「進路を変更。衝突を回避せよ」
 命令を下しているのは、言うまでもなく、副長だ。肝心の艦長はというと…
(「朝霧」か……たしか、綾波型の三番艦)
その時、シンジの脳裏にある台詞がフラッシュバックした。
とても悲しく、それでいて、ひどく懐かしい台詞。
(私、たぶん三人目だと思うから)
「綾波――レイ?」
一人、顔を上げたシンジの目に移ったのは巨大な人型兵器

エヴァンゲリオン

(そうだ、僕は…)
「僕は…、エヴァンゲリオン初号機パイロット。碇シンジです!!」


第∞章


あの時

ぼくは
ぼくたちは
答えを決めきることができなかった

新しいセカイの中でも悩み続けて
 セカイをコピーして弄り続けて
 
だから
 
やっぱり自分の望むようにはならなくて
 でも全然望むようなセカイは作れなくて

それでも

答えを見つけたい



 「だからって……、なんで僕がこんなに苦しまなくちゃいけないんだよ!!」
その時、180mm徹甲弾が「大淀」の機関部付近に命中、炸裂した。その衝撃により「大淀」の船体は二つに裂け、程なくシンジの肉体も母なる海水の中に落ち込んでいった。

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